[I-P01-4-04] 心室中隔欠損症術後中遠隔期の心血管機能
Keywords:心室中隔欠損症, 心内修復術後, 心血管機能
【背景】心室中隔欠損症(VSD)修復術後遠隔期予後は一般人口と遜色ないとされてきたが、近年の大規模検討では心機能障害や運動耐容能低下が指摘されている。VSD修復後患者の心機能低下は成人前に始まっているという仮説を検証した。【対象と方法】2009~2022年に岩手医科大学で小児期に心内修復術を施行したVSD125症。小学生、中学生、高校生の各時点で行った超音波検査を用い、時変エラスタンスモデルを想定した単一心拍法による収縮期末エラスタンス(Ees)を含む負荷非依存性心血管機能指標を解析した。同時期にVSDと診断され、自然閉鎖した群(n=10)、未閉鎖の群(n=46)についても同様の検討を行なった。【結果】対象症例に明らかな心不全症状を呈した症例は無かった。左室駆出率(EF)は小学校から高校にかけて低下(p=0.0009)し、EF 60%未満の症例は小学校・中学校12%であったのに対し、高校では21%と上昇した。Ees、実効動脈エラスタンス、大動脈キャパシタンスはEF低下や手術時年齢、臨床経過と関連しなかったが、心室効率は、高校生で低下を示した(p=0.0030)。【結論】EFは心室効率と密接に関連することが知られており、高校生でのEF低下が成人期の心機能障害や運動耐容能低下の背景となっている可能性がある。これらの原因の究明を行うとともに、EFに低下傾向を示す症例の観察・介入指針について検討する必要がある。