[I-P02-3-04] 肥満度が中等症から軽症へ改善しても左室肥大は持続する
キーワード:肥満, 心機能, 超音波心エコー
背景:肥満になると心血管形態・機能に変化をもたらすが、肥満が改善するとこれらの心機能指標は改善するであろうか。本研究は肥満度の減少が心血管リスクに及ぼす効果を明らかにすること。方法:対象は肥満検診で受診した小児(7-12歳)のうち1-2年の経過観察期間に肥満度が5%以上改善した60例と対照群として肥満のない小児118例。脂質、血糖、インスリン、尿酸、高感度(Hs)CRPを測定し、超音波心エコーから左室左房径、左室収縮拡張機能、左室肥大の指標である左室心筋重量/拡張末期容積比、血管機能の指標である大動脈stiffnessを計測した。結果:経過観察期間(平均1.7年)に肥満度は39±10から29±9%へ減少した。中性脂肪とインスリン抵抗性は有意に低下(104±64 vs.79±36 mg/dl and 2.88±2.77 vs. 2.31± 1.25, p < 0.05)したが、HDL-C、尿酸、血糖、Hs-CRPに変化を認めなかった。収縮期血圧(115±9 vs.109±7mmHg)、左房/大動脈径比(1.15±0.06 vs.1.09±0.06)、左室心筋重量/拡張末期容積比(1.13±0.19 vs. 1.10±0.19)、および大動脈stiffness(1.85±0.43vs.1.77±0.48)は有意に低下(p<0.05 for all)したが、肥満度減少後の左室心筋重量/拡張末期容積比は対照(0.99±0.18)に比し有意に高値であった(p<0.05)。結語:本研究は肥満度が中等症から軽症に改善するとインスリン抵抗性、脂質、心血管形態・機能も改善するが左室肥大は持続することを明らかにした。