[I-P02-4-06] 総肺静脈還流異常症術後の乳児両側肺静脈狭窄に対する気管支鏡併用下でのハイブリッドステントの経験
Keywords:総肺静脈還流異常症, 肺静脈狭窄, ステント
【背景】総肺静脈還流異常症術後の乳児肺静脈狭窄に対する再手術の成績は不良である。ステント留置術は直径7mm以上のステントを挿入できれば開存率が上昇するとされているが、急峻な角度や血管アクセス等の問題から小口径ステントしか留置できないことが多い。【症例】生後6ヶ月・4Kgの女児。総肺静脈還流異常症上心臓型と診断され2回の肺静脈狭窄解除術・心房中隔欠損開窓パッチ閉鎖術を施行されたが右上肺静脈と左下肺静脈閉塞に加えて両側肺静脈狭窄を来たし呼吸不全で緊急入院。右上大静脈閉塞かつ作成されたASDが小さく右肺静脈へのアクセスが急峻なため7mm以上のステント留置が困難と判断し、倫理委員会承諾の上で緊急で開胸下での両側肺静脈ステント留置術・心房中隔欠損拡大術施行。術中に気管支鏡を内視鏡代わりに直接肺静脈に挿入しExpress vascular LD 7mm/17mmステントが十分拡張できていること・主要な側枝にかかっていないことを確認して手術を終了した。術後肺出血はなく、術後3ヶ月経過してステント再拡張を2回施行したが肺出血はなくステントを留置した肺静脈側枝は残存している。【結語】肺静脈狭窄に対するハイブリッドステントは体格の小さな乳児においても直径7mmのステント留置を可能にする。術中気管支鏡を併用することで側枝閉塞や末梢肺静脈に対する過拡張による肺出血を予防し、予後を改善する可能性がある。