[II-OR19-03] 劇症型心筋炎の急性期サイトカインプロファイルの意義
キーワード:心筋炎, サイトカイン, 劇症型心筋炎
【背景】心筋炎の発症にはサイトカインが関連しているが、重篤な転帰を辿る小児の劇症型心筋炎で、その機序は明らかではない。【目的】劇症型心筋炎(FM; Fulminant myocarditis)と急性心筋炎(AM; Acute myocarditis)の心筋逸脱酵素やサイトカインの違いについて明らかにし、病態について検討する。【方法】2012年1月から2022年12月まで当院の集中治療室で治療を行なった心筋炎を対象とした。ECMOを要した症例をFM群とし、使用しなかった症例をAM群に分けて診療録から後方視的に検討し、患者背景および、入院時の血清でサイトカインプロファイルを比較した。【結果】心筋炎33例(病理診断13例)のうちFM群22例(同9例)、AM群11例(同4例)だった。左室駆出率はFM群27(8-72)%、AM群53 (15-68) %とFM群で有意に低下していた。Troponin-TはFM群2.02(0.07-24.7)ng/mL、AM群0.21(0.05-3.0)ng/mL、CK-MBはFM群132(6-4578)IU/L、AM群11(1-197)IU/LとFM群で有意に上昇していた。 pH、LactateはFM群で有意に不良な症例が多かった。サイトカインプロファイルはFM群でG-CSF, IL1RA, IL6, IL8, IL10, IL15が、 AM群でEotaxin, IL4, PDGF-AB/BB, VEGF-αは有意に高値だった。【考察】劇症型心筋炎は急性心筋炎と比較して入院時の心筋逸脱酵素が高値で、血液ガスの値も不良な症例が多く、サイトカインプロファイルにも差が見られた。近年成人のCOVID-19関連心筋炎でIL1やIL6受容体拮抗薬を使用した報告があり、サイトカンを標的とした治療に繋がる可能性がある。