[III-OR25-05] 小児心筋症における全エクソン解析と予後リスク層別化への挑戦
Keywords:心筋症, 遺伝子, 全エクソン
【背景】小児心筋症における遺伝子解析の報告は成人と比較すると少数にとどまり、特に遺伝型と予後の関係についてはほとんど明らかになっていない。【対象と方法】遺伝子解析の同意が得られた小児心筋症75症例について、全エクソンシークエンスの結果と臨床像について解析した。【結果】内訳はDCM 39例、HCM 5例、RCM 28例、その他3例であった。家族歴はDCM 8例、RCM 4例で認めた。DCMではpathogenic or likely-pathogenic variantを7例(病的variant(+): 18%)、variant unknown significance (VUS)を4例(10%)で同定した。MYH7が3例で、他MYBPC3, TNNT2, FLNC, PKP2であった。転帰が心臓移植又は死亡の症例はvariant(+)群で7/7例、variant(-)群で14/28例であり、variant(+)で有意に多かった(Fisher’s exact test P=0.027)が、生存曲線解析では移植回避生存率に有意差はなかった(log-rank test, P=0.225)。HCMでは病的variant(+)は4例(80%)で認めた。RCMでは病的variant(+)14例(50%)、VUS 1例であった。TNNI3が8例、他FLNC, TNNT2, MYL2であった。病的variant(+)14例とvariant(-)13例では、診断時年齢や臨床背景、血行動態に有意差を認めなかったが、生存曲線解析では診断後移植回避生存率はvariant(+)で有意に低かった(2年及び5年移植回避生存率 50%, 22% vs 62%, 54%; log-rank test P=0.0496)。また、学校検診を契機とした診断例は有症状診断例より移植回避生存率は有意に高かった。(P=0.0027)【考察】当院は移植実施施設であるため患者選択バイアスが存在するものの、RCMの病的variant同定例は予後不良であった。各変異遺伝子や変異部位による予後予測にはさらなる症例蓄積が必要である。