[III-OR26-03] 移植心冠動脈病変に対する予後因子解析”血管内超音波を使用した内膜肥厚の経時的推移と薬剤負荷による冠動脈血管拡張性”
Keywords:移植心冠動脈病変, 心臓移植, IVUS
【はじめに】移植心冠動脈病変(CAV)は遠隔期の予後に影響するが、予後予測因子についての報告は限られる。【目的】血管内超音波(IVUS)による内膜肥厚測定と共に薬剤負荷による血管拡張性によるCAVの評価について検討する。【対象・方法】小児心臓移植後26例に2015~2022年の間に年1回の頻度でIVUSを施行(経時的累積138回)した。左冠動脈左前下行枝(LAD)の最大内膜肥厚径と、#6にIVUSを留置しニトログリセリン0.07mg/kg/doseを冠動脈内投与し、#6の面精比を使用し冠動脈拡張反応性を統計学的に評価した。【結果】各心移植後年数における冠動脈内膜肥厚平均値は移植後0~11年0.4mm前後を推移するも移植後12年から肥厚が進行し移植後18年には0.8mmを超えていた。進行がない肥厚安定群(SH群)が存在するため、試験開始時より肥厚径が3年で2倍以上、6年で3倍以上を肥厚進行群(PH群)とするとPH群の急性増悪期が移植後3年以内と10年以上の2相に分かれた。PH群に拒絶反応、PTLD、腎不全の既往に有意に多いわけではなかったが、移植3年以内の拒絶例と移植10年以上のPTLD例が比較的多い傾向にあると推測できた。また薬剤冠動脈拡張反応性は群間の有意差はなく、肥厚が進行しても血管拡張性は保たれた。PH群の肥厚進行前後の心機能比較でも有意な差はなかった。また加えて成人ドナーから小児CAV例における高度肥厚症例も追加提示する。【考察】移植後遠隔期の冠動脈内膜肥厚進行を確認でき約10年を超えた症例は冠動脈精査が必要であると考えられた。移植3年以内の拒絶例と移植10年以上のPTLD例が比較的多い傾向のみであったが現状小児CAVに対するIVUS研究のN数としては限界があると同時に移植後20年以上になるとより顕著な変化がある可能性があり、今後も追跡観察が必要であると考えている。