[III-OR27-03] 一期的心内修復術を行った心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症の治療成績
Keywords:PAVSD, 心内修復術, 再手術
【背景】心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症(PAVSD)の心内修復術(ICR)は, 至適時期および方法に未だ議論がある. 体肺動脈短絡術(APS)は肺動脈の成長を促すが術後死亡率が高いと報告され, 当院は乳児期の一期的ICRを基本方針とし, 右室流出路と肺動脈幹の近接例はTransannular patch(TAP)法, その他はRastelli(R)法を原則としている 【目的】当院での治療成績から, その適否を検討すること【方法】2012年11月から2022年12月までに当院で出生かつICRを終了したPAVSD症例のうちAPSおよび姑息的右室肺動脈導管吻合を経ずICRとした11例の治療経過を観察した 【結果】観察期間は53(15-112)か月(R 46.5(15-71), TAP 63(53-112) か月)で死亡例はなかった. 1例のみICR前に動脈管半閉鎖術による肺動脈血流制御を行った. ICRはR 8例(Yamagishi graft), TAP 3例(一弁付きPTFEパッチ)で, 施行月齢および体重は1(0-5)か月, 3.3(1.9-4.7) kgであった. 再介入は6例いずれもRで, 経皮的肺動脈形成(PTA)を術後5.2±3.8か月で5例, 右室流出路再形成が術後49か月で1例に行い, TAPは再介入がなかった. 直近の心エコーでは10例(91%)が中等度以上の肺動脈弁逆流を認めた 【考察・結論】Rは術後早期にPTAを高率で要したが再手術は要さず, TAPは早期再介入を要さなかった. いずれも死亡例はなく,乳児早期のICRは安全で有効である. TAPでは自己組織を残すことでより直線的な血流となり右室への過負荷を減らすことや肺動脈幹の成長につながるとの報告があり, TAPが可能な症例の選別により再介入を減らす可能性がある. しかし, いずれも中等度以上の肺動脈弁逆流が残存しており, 長期成績の観察が必要である