[III-OR27-04] ファロー四徴症術後PVR症例における術前fQRSの意義
Keywords:ファロー四徴症, 肺動脈弁置換術, Fragmented QRS
【はじめに】Fragmented QRS(fQRS)は心室のDyssynchronyを反映すると言われており,ファロー四徴症(TOF)修復術後遠隔期の右室機能との関係が指摘されている.【目的】当院でTOF術後遠隔期にPRに対してPVRを行った症例において, 術前fQRSの有無と術前術後の心機能との関係について検討すること.【対象と方法】2009年~2021年のTOF術後遠隔期PRに対するPVR症例 20例を対象とした.平均観察期間85.1(19~165)か月. fQRSの定義として心電図V1とV2両方にQRSのFragmentationを有するものとした. 術前心電図にてfQRSは10例に認めそれらをF群, ないもの10例をN群とし術前後の右室機能,QRS幅,BNPを比較検討した. 右室機能は術前,術後1年,3年心臓MRI検査にて評価した. データは診療録から後方視的に抽出した. 【結果】F群vsN群で術前の比較では,手術時年齢34.9±12.1vs29.8±12.0歳(NS),術前RVEDVI197.4±71.3vs190.3±22.1(NS),術前RVEF43.2±4.7vs45.4±4.7%(NS), 術前QRS 170.3±6.4vs156.0±11.5ms(p<0.05), 術前BNP 55.2±60.2vs26.1±20.3pg/ml(NS)とQRS幅のみF群で有意に大きかった. 術後1年の比較ではRVEDVI110.7±16.8vs112.7±22.2(NS)といずれの群でも右室容量の著明な縮小を認め群間に差はなかった. RVEF43.9±5.1vs42.9±3.8%(NS)と右室収縮はいずれの群でも改善はみられなかった. QRS 158.1±14.3vs152.4±16.2ms(NS)と2群間での差は消失していた.術後3年の右室機能の比較も1年と同様,QRSも同様であった. 術後遠隔期のBNPは29.9±21.8vs18.6±16.4pg/ml(NS)と差がなかった. いずれの群でも再入院なし遠隔死なし. 【考察】当院でPVRを行ったTOF症例ではfQRSの有無によって術前術後の右室機能に差は認められなかったが, F群でQRS幅の改善が認められた. fQRSによる術後心機能や予後の予測のためには今後症例の蓄積が必要である.