[III-OR28-02] 部分型房室中隔欠損症と術後左側房室弁機能の検討
Keywords:部分型房室中隔欠損症, 左側房室弁機能, 左側房室弁逆流
【背景と目的】当院で行った2心室の部分型房室中隔欠損症(pAVSD)修復術後の左側房室弁(LAVV)機能を検討したので報告する。【対象と方法】対象は2002年7月から2022年7月に行った2心室pAVSD修復術47例。4例は肺動脈絞扼術を含む姑息術を先行させた。術前にmoderate以上の左側房室弁逆流(LAVVR)を認めたのが8例あり発生の原因はcleftを除くと弁尖の肥厚や変性が3例、弁尖逸脱が2例、腱索断裂が1例であった。重複僧帽弁口(DOMV)は3例に認めたがLAVVRはなかった。根治術時にcleft閉鎖以外のLAVV形成術は6例で行われた。手術時年齢中央値899日(32生日-13.9歳)、体重中央値は10.1Kg (3.8-56.3Kg)、平均観察期間は7.1年(最大19.1年)であった。ダウン症は6例であった。根治手術時月齢を3つ(group1:1歳以下、group2: 1-3歳、group3: 3歳以上)に分けた。それぞれ14例、14例、19例であった。【結果】早期死亡はいなかった。遠隔期死亡は2例(4.3%)であり1例は肺炎、1例は退院後に原因不明の突然死であった。LAVV介入の内訳は形成4例、置換6例(重複含む)であり根治術から初回LAVV介入までの平均日数は857日であった。DOMVは1例のみ閉鎖した。LAVV介入回避率は5年、10年でそれぞれ86.5%、82.0%であった。根治術月齢で比較するとgroup1で有意に介入率が高い結果となった(P=0.0003)。また根治術後のLAVV介入/置換のリスク因子は単変量解析では共にcleft以外を原因とするLAVVR、group1、ダウン症、手術時体重であった。多変量解析ではLAVV介入/置換のリスク因子はそれぞれcleft以外を原因とするLAVVR(P=0.02)、group1(P=0.05)/ cleft以外を原因とするLAVVR(P=0.03)であった。【結語】pAVSD術後のLAVV介入は1歳までの根治術で多く、根治術前に弁尖や弁下構造異常を認める症例は弁置換まで至るリスク因子となった。