第59回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

ACHD

ポスター発表(III-P09-1)
ACHD1

2023年7月8日(土) 09:30 〜 10:00 ポスター会場 (ポスター展示会場)

座長:前田 潤(東京都立小児総合医療センター循環器科)

[III-P09-1-04] RV- PA後壁直接吻合部の成長の乏しい肺動脈閉鎖術後遠隔期PVRの1例

村田 明1, 中村 太地2, 岩崎 秀紀2, 水冨 慎一朗2, 井美 暢子2, 久保 達哉2, 太田 邦雄2 (1.金沢大学附属病院 心臓血管外科, 2.金沢大学附属病院 小児科)

キーワード:肺動脈弁置換, 肺動脈-右室後壁直接吻合, 肺動脈弁閉鎖

【緒言】右室流出路再建(RVOTR)術後の弁置換において、理想的な人工弁の配置や向きを確保し難い場合がある。【症例】18才男性。在胎33週1092gで出生し、DORV, PA, PDA, PLSVCの診断。日齢35にBT shunt、日齢47にcentral shunt、1才時にVSD閉鎖、RVOTR (RV-PA 後壁直接吻合+1弁付きパッチ)を施行。以後経過良好であったが、徐々にPSR及びARを認めるようになり、術後8年でRVp/LVp 0.74, AR2/4を認めた。発達障害、糖尿病(管理不良)、家庭環境など考慮され、以後も外来経過観察。術後15年にPSR増悪、右心機能低下 (RVEDVI 220ml/m2, PR fraction 36%)、左心機能低下 (LVEF43%)を呈し、説明を重ね手術の同意を得た。血糖降下薬の管理不良を指摘され、介助を得てもワーファリン内服は安全とは言えないと判断し、生体弁置換の方針とした。手術:RVOTSはRV-PA吻合部で最も狭く、そこから10mm弱遠位で肺動脈が分岐。肺動脈周径のパッチ拡大はできても、分岐までの距離を延長するのは、周囲のスペースの状況から困難と感じられた。生体弁(Inspiris 21mm)レプリカを当てると、生体弁の後壁側ステントポストが分岐部に当たるか左肺動脈に入り込む。肺動脈分岐部中央を切開し背側まで切り込み、分岐部裏面からパッチ拡大し数mm分岐部までの距離延長が出来、Inspiris 21mmを留置してRVOTRとし、大動脈弁形成、三尖弁輪形成を行って手術を終了した。術後19日目に退院。術後2年の時点で経過良好、estRVp/Bp 0.4程度。【結語】RV-PA 後壁直接吻合によるRVOTR術後、縦方向への成長が認められない症例の再手術において、右室切開からPA分岐までの距離の短さが、肺動脈パッチ縫合や弁選択に影響を与えた。