[I-CSY2-5] 小児慢性特定疾病・難病の医療費助成と、自立支援・移行支援
キーワード:医療費助成, 社会保障, 自立支援
先天性心疾患(CHD)に対する内科的・外科的治療の進歩に伴いその予後は飛躍的に改善し、心疾患のある患児の約95%は20歳を迎え成人期に達することが可能になった。成人CHD患者数は国内で50万人を超え、今後年間9000人の増加が見込まれており、将来的には全人口の1%近くに達すると見込まれる。大部分の先天性心疾患は、修復術後成人期になっても、遺残症、合併症、続発症、再手術など疾患を乗り越えながらの社会生活を送っている。その中で活動制限があり、就学と進学、就職、自立、結婚、妊娠、出産というような小児期から成人期へ移行していく上での多くの問題点を抱えており、ライフステージに合わせた支援を行っていく必要がある。患者の経済的問題とQOLが関連することは指摘されており、医療費助成などの社会保障制度に対する知識は重要である。医療費助成として、小児期の小児慢性特定疾病と成人期の指定難病がある。いずれも自己負担額に上限が設けられている制度で、小児慢性特定疾病は対象が788疾病にのぼる。一方、指定難病の対象は338疾病であり、問題点として、制度の継続性がないことや認定基準・患者負担の範囲などがある。自立支援・移行支援としては「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」および「移行期医療支援センター」がある。自立支援事業は都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置しにおける新規法廷事業であり、必須事業として相談支援事業が、努力義務事業として実態把握事業が新設され、療養生活支援・相互交流支援・就職支援・学習支援・介護者支援事業などが位置付けられている。「移行期医療支援センター」の設置は、移行期医療を総合的に支援する機能を有する拠点として期待されている。CHD診療に携わる医師は、生涯にわたって良質な医療を継続するために、「医療」だけではなく、医療費助成などの社会保障制度はもちろんのこと、自立支援・移行支援に対する様々な事業について知る必要がある。