[I-OR05-04] ファロー四徴症における自己肺動脈弁温存率向上のための工夫
キーワード:ファロー四徴症, 自己肺動脈弁温存, シャント
【目的】当院のファロー四徴症(TOF)における自己肺動脈弁温存(VS)の術式は、2001年より1.STJ後壁拡大形成、2.交連切開、3.RVtomyによる肺動脈弁直下の線維筋組織全周切除、4.主肺動脈および右室流出路のパッチ拡大、としている。また症例により肺動脈弁の成長に期待してシャントを先行している。今回TOFにおける治療戦略について検討した。【方法】2001年1月から2023年12月にTOF根治術に至った患者297例(うち一期的根治群(R群)209例、二期的根治群(S群)88例)におけるVS率について検討した。根治時における月齢、体重の中央値はR群で8.0ヶ月 (IQR 5.1-11.7)、7.3kg (6.5-8.3)、S群で15.7ヶ月 (12.7-18.0)、8.3kg(7.4-9.1)であった。【結果】R群における根治術の内訳はVS134例、TAP74例、Rastelli型1例で、VS率は64.1%、術前の肺動脈弁インデックス(PVAI: cm2/BSA)は1.46 (1.01-1.99)であった。R群におけるVS/非VS群における術前のPVAIは各々1.65 (1.28-2.25)、1.02 (0.74-1.42)(p<0.001)とVS群で有意に高かった。一方S群の根治時における内訳はVS24例、TAP46例、Rastelli型18例で、VS率27.2%。S群におけるPVAIは、シャント前の0.79 (0.58-1.14)から、根治前の1.10 (0.73-1.58)へと有意な増加を示した (P<0.001)。S群におけるVS達成症例24例のPVAIの増加率は+47.4%、非VS症例64例では+26.6%であった。2001年以降のTOF全体におけるVS率は53.2%(158/297例)であり、これは1991年から2000年までのVS率45.7%(102/223例)と比較して高かった。【考察】本術式はVS率向上に寄与している可能性がある。またシャントを挟むことで狭小肺動脈弁であったとしても自己肺動脈弁の成長が期待できる症例があり、心内修復術時の術式選択を広げることができる。