第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

カテーテル治療

一般口演8(I-OR08)
カテーテル治療2

2024年7月11日(木) 09:10 〜 10:10 第7会場 (4F 404-406)

座長:小田中 豊(大阪医科薬科大学 一般小児科)
座長:小柳 喬幸(慶應義塾大学医学部小児科)

[I-OR08-05] 心房中隔欠損に対する外科手術とカテーテル治療の侵襲性の比較

藤田 早紀, 松村 雄, 嶋 侑里子, 小林 匠, 齋藤 美香, 吉敷 香菜子, 上田 知実, 濱道 裕二, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:心房中隔欠損症, 外科的治療, カテーテル治療

【背景】心房中隔欠損症(ASD)に対する治療は外科的治療とカテーテル治療があり、近年では外科的治療の中でも側開胸アプローチが行われるようになっている。【目的】外科治療(正中切開、側開胸)、カテーテル治療においてのそれぞれの治療侵襲性を検討すること。【方法】当院で2021年1月1日から2023年12月31日の3年間にASDに対する治療を受けた18歳未満の患者から外科的正中アプローチ群(M)20人、外科的側開胸アプローチ群(L)20人、カテーテル治療群(P)20人を無作為に抽出し、各群の特徴と周術期の合併症や検査所見の特徴を比較した。【結果】ASDに対する治療を受けた年齢の中央値は、M群6歳8ヶ月、L群7歳6ヶ月、P群9歳3ヶ月、体重の中央値はM群20.5kg、L群20.9kg、P群28.2kgであった。術翌日の平均白血球数はM群13070/μL、L群12545/μL、P群7470/μL、平均クレアチニンキナーゼ(CK)値はM群799U/L、L群1844U/L、P群91U/Lであり、入院期間中に発熱を認めた症例がM群とL群で各5例、心嚢水貯留を認めた症例がM群で3例であった。また胸水貯留がM群で2例、右横隔神経麻痺がL群で1例、2度房室ブロックが各群1例であった。平均入院期間はM群14.1日、L群13.3日、P群7日であった。【考察】カテーテル治療はいずれの外科的治療に比べても、入院期間は短く、合併症も少なかったが、既存の報告にもあるように房室ブロックのリスクはいずれの介入方法においても差は認めなかった。L群はM群に比べて心嚢水、胸水貯留といった液体貯留イベントが少なく、入院期間も短かった。【結論】カテーテル治療は最も侵襲性は低いが、合併症という観点では外科治療も遜色はなかった。外科治療の中でも側開胸アプローチは比較的合併症は少なく、入院期間を短縮できる可能性がある。