第60回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター発表

大動脈

ポスター発表(I-P02-5)
大動脈

2024年7月11日(木) 14:20 〜 15:20 ポスター会場 (2F 多目的ホール)

座長:深江 宏治(熊本市立熊本市民病院 小児心臓外科)

[I-P02-5-05] 大動脈離断症の二心室修復術前後の左室流出路狭窄と術式選択の考察

浅見 雄司1, 稲田 雅弘1, 新井 修平1, 中島 公子1, 池田 健太郎1, 下山 伸哉1, 畑岡 努2, 松永 慶廉2, 岡村 達2 (1.群馬県立小児医療センター 循環器科, 2.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

キーワード:大動脈弓離断症, 左室流出路狭窄, 術式選択

【背景】大動脈離断症(IAA)には大動脈弁・弁下部などで左室流出路狭窄(LVOTS)を合併することが多く、術式選択に迷うことがある。当センターで経験したIAAについて検討した。【方法】2009年から2023年までに当センターで経験したIAAの連続10例を対象とした。全ての症例で先行して両側肺動脈絞扼術を施行した。A群:大動脈弓修復術+心室中隔欠損閉鎖術、N群:Norwood型手術→Rastelli手術とした。大動脈弁・弁下の最小径をLVOTとして、正常大動脈弁径との比(%)とz soreを算出し、術前後のLVOTの成長、術後のLVOTSについても検討した。【結果】A群は6/10例で、術前のLVOTは62.2~104.5%、z score -4.75~0.43であった。N群は4/10例で、術前のLVOTは55.5~90.4%、z score -5.89~-2.19であった。近年では大動脈弓修復術+心室中隔欠損閉鎖術の適応を拡大する傾向であった。A群では日齢57~131(平均76)で手術を施行し、観察期間は2~158か月であった。手術前後のLVOTは79.1±15.2%→90.5±15.6%(p=0.06)、z=-2.52±1.89→-1.16±1.89(p=0.06)と拡大する傾向を認めた。日齢131で手術を施行した症例のみ、62.2%→61.5%、z=-4.75→-4.86と成長は認められなかった。LVOTのVmaxは1.20-2.59m/sであり、全例でLVOTSに対する治療介入は要していない。N群では日齢82~149(平均119)で手術を施行し、観察期間は61~151か月であった。手術前後のLVOTは70.9±14.0%→63.0±4.2%(p=0.33)、z=-3.92±1.61→-4.63±0.65(p=0.36)と縮小する傾向を認めた。LVOTのVmaxは0.83-1.78m/sであり、全例でLVOTSに対する治療介入は要していない。【考察】IAAの二心室修復として大動脈弓修復術+心室中隔欠損閉鎖術を施行した場合、特に早期に手術を施行した症例でLVOTSは拡大する傾向にあった。LVOTが62.2%、z score -4.75までの症例で術後のLVOTSは許容範囲内だった。既報では遠隔期にLVOTSに対してバルーン拡張を要した報告もあり、慎重な経過観察を要する。