[I-P02-5-07] Study of a case of vascular ring with tracheal stenosis
Keywords:血管輪, 気管狭窄, 呼吸器管理
背景:血管輪は大血管の解剖学的先天異常により, 気道圧迫きたす疾患である。多くは血管輪の解除により狭窄解除され、改善する例がほとんどとされている。目的:今回, 北里大学関連3施設における気管狭窄を伴う血管輪患者の患者背景、手術時期、治療戦略、周術期の経過に検討し、現状と傾向を把握する事を目的とした。方法:北里大学病院、群馬県立小児医療センター、自治医科大学こども医療センターの3施設で2006年~2023年までの間に、手術を受けた血管輪患者14例を対象とした。患者背景、術前呼吸状態、手術術式および周術期管理、退院後の呼吸状態、最終転帰について後方視的に検討した。結果:手術は平均8.6ヶ月(中央値6ヶ月)時に施行、平均体重は6.6kg(中央値6.9kg)であった. 併存疾患として、Fallot四徴症が2名、TGA 1型の術後が1名、VSDが1名であった。Arch 形態は右側大動脈弓が6例、両側大動脈弓が6例、左側大動脈弓が2例であった。12例は術前に気管支鏡を施行した。術前から呼吸サポートを要したのは5例であった(CPAP 3例, 挿管管理2例)。手術は人工心肺を用いた症例が6例、術後補助循環を要した症例が1例であった。術後平均挿管時間は14日、人工呼吸器離脱後の呼吸補助としてNHFが多かった(7/14例、50%)。平均PICU滞在期間は41日(中央値7日), 術後入院期間は55日(中央値16)であった。周術期死亡は1例(7.1%)、 院内死亡は1例(7.1%)認め、いずれも併存疾患による死亡であった。遠隔期死亡は認めなかった。結語:多くの報告では、血管輪に対する外科的介入の成績が良好で、ほとんどの患者で症状が消失されるとされている。術後の予後は併存疾患に依存しており、血管輪単独の症例においては血管輪のdivisionにより術後気管狭窄が解除され良好な経過であった。