[I-P03-2-03] 修正大血管転位に対するHemi-Mustard法と両方向性グレンを併用したダブルスイッチ手術変法の臨床的検討
キーワード:修正大血管転位, Hemi-Mustard法, 両方向性グレン
【背景】修正大血管転位(ccTGA)に対するHemi-Mustard法と両方向性グレンを併用したダブルスイッチ手術変法(以下HM法)は、心房内血流変換術に起因する術後合併症を減らすことができる術式として期待されている。当院で施行したHM法の臨床経過について検討する。【症例】症例1:8歳男児。胎児診断症例。ccTGA・DORV・subpulmonary VSD・PS(弁+弁下)の診断で、御家族の希望により無治療で経過したが、徐々にチアノーゼを認め、5歳時にRastelli型手術を併用したHM法を施行した。術後、一時的な上室性不整脈と軽度の遺残短絡を認めたが心機能は良好であった。症例2:5歳男児。胎児診断症例。ccTGA・subpulmonary VSD・PFO・PDA・mild PS(弁)の診断で、生理的肺高血圧の改善により解剖学的左室圧が低下し、TRが増悪していった。1歳7か月時に肺動脈絞扼術(PAB)、2歳4か月時に大動脈スイッチ手術を併用したHM法を施行した。術後、解剖学的左室の心機能低下を認めた。症例3:1歳男児。胎児診断なし。出生後、ccTGA・mVSD・PFO・mild PS(弁)の診断となった。生後3か月でPAB、1歳1か月時に大動脈スイッチ手術を併用したHM法を施行した。術後、軽度のARを認めたが心機能は良好であった。【考察】症例1で一時的に上室性不整脈を認め、症例2で解剖学的左室機能が低下したが、手術死亡はなく、難治性不整脈や静脈路狭窄を認めた症例はいなかった。心機能低下を認めた症例2と他との違いは解剖学的左室圧が低下している期間の長さが考えられた。【結語】ccTGAに対するHM法は、心房内血流変換術に起因する術後合併症を減らすことが期待できる。また、解剖学的左室圧が低下する期間を短くし、解剖学的左室のトレーニングを乳児期早期から行うことが望ましい。