The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Symposium

Symposium 4

Thu. Jul 11, 2024 9:40 AM - 11:10 AM ROOM 8・JCK-AP Forum (5F 502+503)

座長:澤田 博文(三重大学医学部附属病院 小児・AYAがんトータルケアセンター)
座長:永井 礼子(北海道大学病院 小児科)

[I-SY4-4] ラット肺動脈性肺高血圧症モデルにおける叢状病変形成に対するプロテオーム解析

森本 美仁, 山本 英範, 郷 清貴, 深澤 佳絵, 大橋 直樹, 加藤 太一 (名古屋大学大学院 医学系研究科 小児科学)

Keywords:肺高血圧, レーザーマイクロダイセクション, プロテオーム解析

【目的】叢状病変(PL)は重症肺動脈性肺高血圧症の特徴的な病変であるが、この病変形成のメカニズムは十分に解明されていない。本研究では、PL形成に関連する経路を探索するために、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)により得られたPL形成前後の血管組織を用いてプロテオーム解析を検討した。【方法】7週齢のラットにSugen 5416を皮下注射し、その後3週間低酸素に曝露した。さらに、その後5週間(8週モデル)または10週間(13週モデル)室内正常酸素で飼育した。8週モデル(n=5)の内膜肥厚を起こした血管組織および13週モデル(n=5)のPLをLCMで得た。これらの微小解剖サンプルは、次に定性的、そして定量的プロテオミクスアプローチの対象となった。発現変動タンパク質(DEPs)は、質量分析(MS)における存在量によって解析した(P値 < 0.05、|log2FC| > 0.5)。さらに、8週モデルと13週モデルのそれぞれで同定されたDEPsについて、遺伝子オントロジー(GO)解析によって強化されたパスウェイを調べた。【成績】LCM-MSを用いて、57個のDEPs(8週モデル31個、13週モデル26個)を含む718個のタンパク質を同定した。GO解析の結果、8週モデルではアクチン細胞骨格組織、アクチンフィラメントに基づくプロセス、アクトミオシン構造組織化プロセスが亢進していた。一方、13週モデルでは、自然免疫系、G2/Mチェックポイント、活性酸素種に対する細胞応答が亢進していた。【結論】LCM法で得られたサンプルを用いてプロテオミクスで評価した8週および13週Sugen/hypoxiaモデルの肺血管病変では、タンパク質発現に差が認められた。これらのDEPsの解析は、PL形成のメカニズムの解明に寄与する可能性がある。