[II-OR16-04] Pathological examination of poor contrast area observed in liver contrast MRI using Gd-EOB-DTPA in Fontan
Keywords:Fontan, FALD, MRI
【背景】Fontan関連肝臓病(FALD)の診断基準の未確立が診療上の課題である。我々は肝細胞特異性造影剤であるGd-EOB-DTPA下の造影MRI検査(EOB-MRI)による肝実質性状評価の有用性を報告してきたが、造影不良域の病理学的意義は不明であった。【目的】肝生検の病理組織像をうっ血肝の線維化スコアリング(Score 0、1、2A、2B、3、4)(Dai et al. Mod Pathol 2014)で評価し、EOB-MRIの造影不良域の肝実質の変化を明らかにすること。【症例1】6歳女児。多脾症、DORV、下大静脈欠損奇静脈結合。2歳時にTCPC施行。チアノーゼと房室弁逆流の悪化があり精査中にEOB-MRIで肝内に多発性限局性結節性過形成と広範な造影不良を認め、肝生検施行。組織標本では類洞の拡張や線維化を認め、門脈域の線維性拡大も伴い、線維化スコアリングはScore 2A。線維化巣に炎症細胞浸潤が散見される点がうっ血肝の線維化としては非典型的であった。【症例2】14歳女児。HLHS、4歳時にTCPC施行。定期カテーテル検査時にCVP 15mmHgと高値でEOB-MRIでびまん性の造影不良と点状・小結節状造影増強像を認め、肝生検施行。組織像は高度のうっ血、出血、肝小葉構築の改変を伴う不規則な線維化を認め、肝硬変(Score 4)であった。門脈域や小葉に炎症所見も伴っていた。【症例3】16歳女児。多脾症、単心室、一側房室弁閉鎖。2歳時にTCPC施行。定期カテーテル検査時にCVP 18mmHgと高値でEOB-MRIで肝静脈分布に対応した造影不良域を認め肝辺縁に楔状の信号異常が散在しており、肝生検施行。本症例もScore 4で肝硬変であり、広範囲の肝実質脱落と軽微な胆汁うっ滞を認めたが、門脈域の炎症は軽微であった。【結語】EOB-MRIでの造影不良所見は肝実質の脱落や線維化等の肝実質変化と推察され、FALDの肝実質評価に有用な指標である。