[II-OR17-02] Safety and efficacy of Sodium glucose cotransporter 2 inhibitors in patients with adult congenital heart disease
Keywords:成人先天性心疾患, 慢性心不全, Sodium glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬
【背景】Sodium glucose cotransporter 2(SGLT2)阻害薬は慢性心不全治療薬として普及しているが、成人先天性心疾患(ACHD)患者における効果は明らかにされていない。【目的】ACHD患者におけるSGLT2阻害薬の安全性および有効性を検討する。【方法】当院通院中のACHD患者で2020年1月から2023年1月にSGLT2阻害薬を処方された患者についてNYHA、BNP値、eGFR値、心臓超音波、胸部X線所見等を内服前後で比較した。【結果】対象患者は11例(男:女 6:5, 年齢 30~74歳 平均52歳)、薬剤はダパグリフロジン7例(投与量10mg/日 5例、5mg/日 2例)、エンパグリフロジン4例(投与量10mg/日 3例、25mg/日 1例)、主診断は単心室4例、両大血管右室起始(単心室血行動態)2例、ファロー四徴症1例、心房中隔欠損症1例、心室中隔欠損症1例、動脈管開存症1例でフォンタン術後患者は3例だった。観察期間は平均19か月(3~34か月)。死亡例はなく、低血圧のため投薬を中止した1例以外の副作用は認めなかった。体重は8例で減少し(-19.5~-1.0kg, 平均-6.8kg)、それ以外の3例は平均0.8kg(0.2~1.2kg)の増加であった。導入時NYHA IIIの単心室血行動態の患者3例はいずれもNYHA IIに改善した。心不全増悪は4例(36%)で3例は手術治療を要した。BNP値(導入時153.2±184.1pg/mL、最終フォロー時158.3±154.6ng/mL)、eGFR値(導入時62.9±22.4mL/min/1.73m2、最終フォロー時58.5±20.3 mL/min/1.73m2), 体心室駆出率(導入時57.1±8.7%、最終フォロー時57.4±7.4%)、心胸郭比(導入時60.8±9.6%、最終フォロー時58.6±9.4%)には有意な変化は認めなかった。【考察・結語】ACHD患者においてSGLT2阻害薬の忍容性は良好で、単心室血行動態の患者に対する効果も期待でき、、今後の症例集積が俟たれる。また手術治療を要する病変を有している患者では、適切なタイミングでの手術治療との併用が重要である。