[II-OR17-03] Prospective cohort research for aortic root dilatation and non-elasticity after surgical repair in adults with Tetralogy of Fallot (TRANSIT)
Keywords:Fallot 四徴症, 大動脈基部拡大, aortopathy
【目的】Fallot 四徴(TOF)修復手術後の成人に,大動脈壁の弾性低下にともなう大動脈基部拡大(AD)が認められることがある.ADの罹患率や関連因子は,欧米の横断的研究で検討され日本での実態が不明なため,多施設共同前向きコホート研究を実施した.【方法】TOFと診断され(肺動脈閉鎖を含む),修復手術を行った20 歳以上の成人を対象とした.初回検査時から3年後最終検査を行い,心エコーを中心に臨床データを収集した.ADに関しては,心エコー画像を中央解析し,バルサルバ洞(SV)径の年間拡大率を主要評価項目とした.【成績】対象は,7施設から登録した104例(男58例,20~56歳,中央値29歳)である.SV径は初回→最終の比較で,実測値(34.3± 5.8 → 36.1±6.0mm,拡大率0.58 ± 1.29 mm/年),補正値(21.3 ± 3.8 →22.2 ± 3.7 mm/m2,0.29 ±0.79 mm/m2/年)とも有意な拡大を認めた.SV径補正値の日本人成人正常値によるADは,初回44%,最終52%であった.SV径補正値拡大率と有意な相関を認めた変数は,拡張期血圧(相関係数-0.19),心胸郭比(0.27),僧帽弁のE/e’比(0.31).NT-proBNP値(0.21)であった.これらの変数と男性・肺動脈閉鎖を説明変数,SV径補正値拡大率を目的変数とした重回帰分析では,拡張期血圧とE/e’比が有意であった.【結論】 日本人のTOF術後成人例において,ADの罹患率とSV径拡大率を初めて明らかにした.SV径拡大率に関連した拡張期血圧低下と左室拡張能低下は,大動脈壁弾性低下によるaortopathyの反映と考えられた.