The 60th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Oral Session

心血管発生・基礎研究

Oral Session (II-OR19)

Fri. Jul 12, 2024 9:10 AM - 10:00 AM ROOM 7 (4F 404-406)

座長:横山 詩子(東京医科大学細胞生理学分野)
座長:上砂 光裕(日本医科大学 / 日本医科大学多摩永山病院小児科)

[II-OR19-02] New insights into the role and origin of cardiac macrophages

劉 孟佳1,2,3, 川平 直史3, 中島 康弘4, 中野 治子3, 岩瀬 晃康5, 内島 泰伸5, 王 めい2, 南沢 享2, 栗原 裕基5, 中野 敦2,3 (1.熊本大学 国際先端医学研究機構, 2.東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座, 3.カリフォルニア大学ロサンゼルス校 分子発生生物学, 4.京都大学 医学部 循環器内科, 5.東京大学 大学院医学系研究科 代謝生理化学)

Keywords:心内膜細胞, マクロファージ, Nkx2-5

【目的】胎生期において心臓を構成する多くの細胞は、同一の起源を持つのみならず互いの分化成熟を促すことで形態形成を完成させる。造血細胞はただ血管内を循環するだけでなく、心血管系の形態形成において重要な役割を持つ。当グループは、胚発生期の一時期に心臓の心内膜細胞も造血能を持ち、組織リモデリングに重要なマクロファージ産生の部位となることを明らかにしてきた。この造血性心内膜細胞はマウス胎生9.5日前後に心内膜床に集中してみられ、ホメオボックス転写因子Nkx2-5により特異的に制御されていることが明らかとなった。Nkx2-5転写因子が胎生期の心内膜床部分の内皮細胞に発現し、局所造血に必須であるが、その詳細な分子メカニズムは未解明である。【方法】本研究では、Nkx2-5依存的な心内膜造血の制御機構を探るため、Nkx2-5ノックアウト(KO)マウス胎仔(胎生9.5日)の心臓を用いたsingle-cell RNA sequence (scRNA-seq)データを解析し、genetic experimentにより検証した。【結果】scRNA-seq解析から、Nkx2-5null心内膜ではNotchシグナル伝達経路に関連する遺伝子の発現が有意に減少していることが明らかとなった。さらに詳細なシグナルネットワーク解析の結果、レチノイン酸(RA)シグナルを減衰させる還元酵素であるDhrs3がNkx2-5下流で造血性心内膜細胞を特徴づける遺伝子となっていることを同定した。In vivoおよびex vivoの解析から、Nkx2-5-Notch axisは造血性心内膜および心内膜床細胞の生成に必須であり、Dhrs3発現によるRAシグナルの抑制はマクロファージへのさらなる分化に重要な役割を果たすことが検証された。【結論】以上のことから、Nkx2-5/Notch/RAシグナルが造血性心内膜細胞からのマクロファージ分化に極めて重要な役割を担っていることが明らかになった。本発表では造血性心内膜細胞由来マクロファージの新たな役割についても紹介する。