[II-P01-1-08] Transcatheter revascularization for venous occlusion resulting in chylothorax
Keywords:乳糜胸, 静脈閉塞, 血行再建
【背景】小児の周術期の上大静脈閉塞・腕頭静脈閉塞は、中心静脈カテーテル留置によって生じることが多く、これにより乳糜胸が生じると低栄養および感染を生じ生命予後悪化を来す。こうした静脈閉塞に対して経皮的血行再建術が試みられることがあるが、その効果は不明である。今回、当院で乳糜胸水を生じた静脈閉塞に対する経皮的血行再建術の有効性について後方視的に検討した。【対象】2018年1月から2023年12月。5症例に対して経皮的血行再建術を試みた。基礎疾患は、左心低形成症候群1例、腹壁破裂1例、横隔膜ヘルニア1例、完全大血管転位1例、大動脈縮窄複合1例。体重(中央値)2776gで、5例中2例が低出生体重児であった。【結果】治療実施時期は日齢21、手術からの期間は14日(各中央値)。治療を行った5例中開存維持は2例。4例はエコーで閉塞が確認された当日にカテーテル治療を実施したが3例で血行再建は困難であった。胸水出現から治療介入までの期間(中央値)は6日(最短2日)であった。全例で手術時に右内頸静脈もしくは左上肢から中心静脈カテーテルが留置されていた。中心静脈カテーテルの留置期間(中央値)は5日であった。有害事象として心外穿破を2例、心嚢液貯留を1例に生じた。【考察・まとめ】乳糜胸の改善を目的とした静脈閉塞に対して経皮的血行再建術を試みたが開存は5例中2例のみであった。閉塞部位の穿通自体が困難なことが多く、開通しても開存維持には至らなかった。中心静脈カテーテル挿入中は胸水出現に留意し静脈狭窄の早期検出に努める必要がある。また静脈閉塞予防のために、心房ラインの使用や中心静脈カテーテルの留置期間を最低限にとどめることが肝要である。