[II-P01-4-02] The Fate of Unligated Vertical Vein in Total Anomalous Pulmonary Venous Connection Repair
Keywords:総肺静脈還流異常, 垂直静脈, 門脈体循環シャント
【背景】総肺静脈還流異常(TAPVC)修復術において左室コンプライアンスが低い場合には術後循環動態の安定化を図るために垂直静脈(VV)を結紮しないことがある。また、下心臓型では術野の問題から結紮が困難な場合がある。残存VVの多くは術後コンプライアンス向上に従い自然閉鎖するとされるが、自然閉鎖せず右室容量負荷や門脈体循環シャント(PSS)のため閉鎖を要する例も報告されている。術後VVの経過についてまとまった報告は少なく、どのような症例で術後にVV閉鎖が必要になるのかは明らかでない。
【目的】術中VV結紮を行わなかった症例におけるVVの経過を明らかにする
【方法】2016 年4月から2023年3月に当院でTAPVC修復術を行った症例を対象としてVVの経過を診療録から後方視的に調査した。
【結果】TAPVC修復術を行ったのは48例で上心臓型19例、傍心臓型13例、下心臓型13例、混合型3例であった。無脾症に合併したものは7例であった。術中にVV結紮を行わなかったのは上心臓型3例(無脾症3例)、下心臓型13例(無脾症1例)、混合型2例(無脾症1例)であった。観察期間1-7年(中央値4年)で自然閉鎖しなかった症例は8例で、うち7例は門脈、1例は上大静脈に還流していた。この8例はいずれも術前に閉塞性病変(PVO)を認めなかった。門脈に還流する7例のうち、無脾症でない5例のVV血流はいずれも左房→門脈優位の両方向性で経過観察となっていた。無脾症の2例はいずれもPSSとなり、1例は外科的結紮、1例はカテーテルによる閉鎖を行った。術後1年の時点で自然閉鎖していない症例はその後も閉鎖することなく経過していた。
【考察】VVが門脈に還流し、術前にPVOを認めない症例はVVが自然閉鎖しにくい。VVが門脈に還流し、無脾症を合併する2例はいずれもPSSとなっており、単心室血行動態がPSSに関与すると考えられる。無脾症でVVが門脈へ還流する症例では閉鎖術が必要となる可能性が高く、注意深いフォローアップを要する。
【目的】術中VV結紮を行わなかった症例におけるVVの経過を明らかにする
【方法】2016 年4月から2023年3月に当院でTAPVC修復術を行った症例を対象としてVVの経過を診療録から後方視的に調査した。
【結果】TAPVC修復術を行ったのは48例で上心臓型19例、傍心臓型13例、下心臓型13例、混合型3例であった。無脾症に合併したものは7例であった。術中にVV結紮を行わなかったのは上心臓型3例(無脾症3例)、下心臓型13例(無脾症1例)、混合型2例(無脾症1例)であった。観察期間1-7年(中央値4年)で自然閉鎖しなかった症例は8例で、うち7例は門脈、1例は上大静脈に還流していた。この8例はいずれも術前に閉塞性病変(PVO)を認めなかった。門脈に還流する7例のうち、無脾症でない5例のVV血流はいずれも左房→門脈優位の両方向性で経過観察となっていた。無脾症の2例はいずれもPSSとなり、1例は外科的結紮、1例はカテーテルによる閉鎖を行った。術後1年の時点で自然閉鎖していない症例はその後も閉鎖することなく経過していた。
【考察】VVが門脈に還流し、術前にPVOを認めない症例はVVが自然閉鎖しにくい。VVが門脈に還流し、無脾症を合併する2例はいずれもPSSとなっており、単心室血行動態がPSSに関与すると考えられる。無脾症でVVが門脈へ還流する症例では閉鎖術が必要となる可能性が高く、注意深いフォローアップを要する。