[II-P01-4-04] Rastelli手術後難治性感染性心内膜炎の感染部位同定に18F-FDG PET/CTが有用であった小児例
キーワード:感染性心内膜炎, PET, Abiotrophia defectiva
【はじめに】先天性心疾患術後の感染性心内膜炎(IE)において、導管などの人工物感染の場合は抗菌薬治療単独では治癒が得られにくいため外科的介入を検討するが、感染部位同定が困難な症例も経験する。18F-FDG PET/CT (PET)が感染部位同定に有用と成人例で報告されているが、小児例での報告は少なく、また保険適応外である。PETにより感染部位を同定し得た難治性IEの小児例を経験した。【症例】8歳男児。修正大血管転位、心室中隔欠損、肺動脈狭窄に対して、1歳3か月時にconventional Rastelli手術が施行された。入院1か月前から発熱と気道症状があり、マイコプラズマ感染として抗菌薬加療されたが、発熱が遷延し、当院を紹介受診した。経胸壁心エコー (TTE)ではIEを疑う所見はなく、ミノサイクリン点滴静注で治療開始した。血液培養からAbiotrophpia defectiva (A.defectiva)が検出され、菌血症に対し抗菌薬をアンピシリン+ゲンタマイシンに変更し、血液培養は陰性化した。全身造影CTでもIEを示唆する所見はなく、血液培養陰性化から4週間抗菌薬使用後に内服に変更して退院したが、2日後に再発熱した。この際もA.defectivaが検出され、抗菌薬静注再開後も菌血症が遷延し、経過からはIEが強く疑われた。TTE、経食道心エコーでは感染部位が同定できなかったが、PETでRastelli導管部位に高度集積を認め、感染部位と判断し、Rastelli導管交換手術を行った。導管の培養からA.defectivaが検出され、PETの結果に一致した。術後、血液培養は陰性化し、以後再燃なく経過した。【考察とまとめ】Rastelli導管など右心系人工物のIEはエコー検査による検出率が低いが、PETにより検出率が上昇したと成人例で報告されている。小児においても、エコー検査で感染部位が同定できない先天性心疾患術後IE症例に対してはPETが有用であり、外科的介入判断の一助となり得る。