[II-P01-4-06] A case of bilateral diaphragmatic nerve palsy after repair of aortic arch dissection complex: conservative treatment using diaphragm electrical activity
Keywords:両側横隔神経麻痺, 神経調節補助換気, 横隔膜活動電位
【背景】心臓外科術後の両側横隔神経麻痺の発生頻度は低く0.5%未満と報告されている。しかし、治療に関する統一された見解はなく、気管切開術を含めた積極的な手術介入を推奨する報告から、長期的には自然回復が見込めるため手術介入を避けるべきとする報告もある。今回心臓外科術後の両側横隔神経麻痺症例において、横隔膜活動電位を指標とした管理を行なったので報告する。【症例】修正大血管転位症、大動脈弓離断症に対する両側肺動脈絞扼術、動脈管ステント留置術後の月齢3か月児。大動脈弓再建術、主肺動脈絞扼術を施行後、左横隔神経麻痺に対し術後8日目に横隔膜縫縮術を施行した。術後26日目に大動脈再狭窄に対する再建術を行った。再建術後2日目に右横隔神経麻痺と診断し、右横隔膜縫縮術を施行した。人工呼吸器からの離脱を試みたが呼吸筋疲労が緩徐に顕在化し、吸気の圧サポートが継続して必要な病態であった。神経調節補助換気(Neurally Adjusted Ventilatory Assist;NAVA)を開始し、適正なサポートとなるよう児の呼吸に合わせた呼吸器の調整を行った。NAVA開始時には横隔膜活動電位は微弱かつ不安定であったが、右横隔膜縫縮術後1か月程度経過した頃から安定して検出可能となった。画像評価による横隔膜の視覚的な動きも連動して改善が得られ、縫縮術後39日目に抜管しその後も呼吸努力の増悪はなく経過した。【結語】本症例より、両側横隔神経麻痺における横隔膜活動電位は横隔膜機能の評価として有用である可能性が示唆された。