[II-P01-4-08] Fontan手術後患者の発達予後
キーワード:Fontan, 発達, QOL
【背景】Fontan手術の成績は大きく改善し、多くの患者が成人領域に達している。術後患者の発達予後はQOLに関わる重要な因子の一つである。【方法】神奈川県立こども医療センターでフォローアップしているFontan手術後患者のうち、2013年以降に3歳前後で新版K式発達検査を行った141名、6歳前後でWISC-4知能検査を行った100名を対象とした。(1)全体像の提示、(2)各年齢の発達検査、知能検査に影響を与える因子をロジスティック回帰分析を用いて抽出、(3)3歳時発達指数のうち6歳時知能指数に与える項目についての検討、を行った。(2)のリスク因子としては早産児、低出生体重児、総手術回数、初回on-pump手術日齢、総on-pump手術回数、Glenn手術月齢、Fontan手術月齢、術後CVP、SpO2、BNPを挙げた。p < 0.05を統計的有意とした。【結果】(1)3歳時の新版K式発達検査の結果は正常40%、境界40%、遅滞29%で、6歳時のWISC-4知能検査の結果は正常64%、境界24%、遅滞12%であった。なお、両方の検査を行った68例に限ると3歳時は正常49%、境界49%、遅滞2%で、6歳時は正常59%、境界34%、遅滞7%であった。(2)3歳時新版K式発達検査で正常に寄与する因子として非早産児、総手術回数、総on-pump手術回数 ( p = 0.0004, 0.02, 0.02 )が抽出された。6歳時WISC-4知能検査に影響を与える因子は無かった。(3)3歳時新版K式発達指数は6歳時WISC-4知能指数に有意に相関した( r = 0.64、p < 0.0001 )。下位項目のうち認知-適応発達指数( r = 0.55, p < 0.0001 )、言語社会-発達指数( r = 0.59, p < 0.0001 )は相関したが、姿勢-運動発達指数は相関しなかった。【考察】3歳時新版K式発達検査の結果は6歳時WISC-4知能指数は有意に相関した。このことは3歳時に発達検査をすることで、ハイリスク児を早期に抽出し早期介入につなげることが可能となることが示唆された。