[II-P02-2-08] Effectiveness and Feasibility of Pacemaker for LQTS with Repeated Syncope
Keywords:QT延長症候群, ペースメーカ, 失神
【背景】β遮断薬内服下でも失神発作を繰り返す高リスクの先天性QT延長症候群(LQTS)の症例は、一般的に植え込み型除細動器(ICD)の適応となる。本発表ではペースメーカ植え込みのみを行い失神発作を抑制できているLQT2の1症例の経験から、ペースメーカの有用性について報告する。 【症例】6歳男児。学校心臓検診を契機に受診した。突然死の家族歴、失神の既往はなかったが、12誘導心電図でQT延長(QTc 553msec)と ノッチ型T波を認めた。Schwartzスコアが4点であり、先天性 LQTSと診断し、喘息合併のためアテノロール内服を開始した。その後、10歳10ヶ月時の朝食中に1回目、11歳1ヶ月時の朝食後に2回目、11歳5ヶ月時の臥位時に3回目の意識消失をきたし、LQTSによるtorsade de pointesの可能性が高いと判断した。遺伝子検査にて先天性LQT2と診断した。その後にメキシレチン、カリウム製剤も追加したが、11歳7ヶ月時に自宅でテレビゲームの最中に4回目の意識消失をきたした。以上の経過より薬物治療でコントロール不能と判断し、11歳9ヶ月時(身長137.0cm、体重30.7kg)に、経胸壁心外膜アプローチによるペースメーカ植え込み術を施行した。作動様式はAAIモードで、術後のQTc時間は373msecと短縮を認め、以後、失神発作なく経過している。 【考察】ICDは、致死性不整脈イベントへの除細動効果を発揮するが、小児における不適切作動率が高いため、必ずしも小児LQTS患者のQOL を改善しない。特に本症例は活発な高学年の小学生であり、ICDの不適切作動率が強く懸念された。一方で近年、LQTSに対するペースメーカの心室性不製薬抑制効果が報告されており、本症例においてはペースメーカ植え込みを選択し、術後は失神発作を抑制できている。 【結語】生活指導や薬物治療を行ったうえでも失神を予防できないLQT2の小児において、ペースメーカ植え込みも一つの選択肢かもしれない。