[II-PD8-3] ファロー四徴症修復術後中期遠隔期におけるMRIによる心機能評価
Keywords:ファロー四徴症, 右室流出路再建術, MRI
(目的)ファロー四徴症(TOF)修復術(ICR)後のMRIによる心機能評価を右室流出路再建術式(肺動脈弁輪温存(VS)、一弁付きパッチ(TAP))で分け比較検討した。(対象)2005年から2021年にICRを施行したTOF95例中、術後MRIを用いて心機能評価を行った60例(63%)を対象とした。MRIの評価項目は左室・右室拡張末期容量係数(LV・RVEDVI)(ml/m2)左室・右室駆出率(LV・RVEF)(%)、肺動脈・大動脈逆流率(PRF・ARF)(%)。術後時期を早期(術後1-5年)、中期(術後5-10年)、遠隔期(術後10年以降)に分けた。(結果)VS群 28例、TAP群32例。MRI施行時期は術後平均8.7±4.9年。ICR時平均年齢/体重はTAP群1.7歳/9.6kg、VS群1.6歳/9.4kgで差を認めず。MRIによる右心系評価では、PRFは、TAP群では平均42±10%と高値を示すが、経時的変化なし。VS群は早期12±8%と逆流は少ないが、中期19±12%、遠隔期30±21%と肺動脈弁逆流は増加していた。RVEDVIも同様で、TAP群は、平均115±23 ml/m2と一定であったが、VS群は早期80±12 ml/m2、中期98±21 ml/m2、遠隔期121±39 ml/m2と右室拡大が進行していた。RVEFはTAP群は平均45±8%と変化なく、VS群では早期51±6%、中期48±11%、遠隔期46±4%と経時的に低下。左心系評価では、ARFは両群共に1%程度。LVEDVIは共に増大傾向だが、差はなし。LVEFはTAP群で51±5%と経時的変化を認めず、VS群で58±4%、54±5%、53±4%と低下傾向を認めた。最新心エコー検査(術後平均8.1年)では、右室流出路流速はTAP群2.2±0.8 m/s、VS群2.0±0.4 m/sと良好であった。(結語)MRIによる心機能評価では、TAP群は肺動脈弁逆流が術直後から認められるが、経年的に増悪はなかった。一方VS群は、肺動脈弁逆流や右室拡大は徐々に進行し、術後10年を過ぎるころにはTAP群と同等に観察された。VS群においても徐々に右室機能が悪化している可能性があり、今後注意深い経過観察が必要である。

