[II-PD8-4] TOFに対するsystemic pulmonary shunt術後の肺動脈弁輪径の成長と遠隔期肺動脈弁機能
Keywords:ファロー四徴症, 段階的修復, 肺動脈弁機能
【背景】我々は,ファロー四徴症(TOF)の狭小肺動脈弁輪(PVA)に対しsystemic pulmonary shunt (SPS) を施行後のPVAの成長を報告してきたが,遠隔期の肺動脈弁機能は明らかでない.【目的】TOFに対してSPSを施行後のPVAの成長およびICR時の肺動脈弁温存の有無による遠隔期の肺動脈弁機能を検討すること.【方法】関連3施設で2005年から2023年にTOF, DORV/PSに対してICRを施行した計143例のうち, SPSを施行した54例を対象とした. 弁輪温存修復術(VSR)の施行基準は,PVA Z scoreが-3.0以上であった. VSR群 (16例, 30%)とTAP (transannular patch) 群 (38例, 70%)で比較検討した. 心エコーで右室流出路狭窄(RVOTS)は圧較差50mmHg以上, PRはmoderate以上と定義した. 連続変数は中央値+IQRで表した.【結果】手術死亡・遠隔期死亡なし. SPS日齢は44日(20-101), ICR月齢は9.3月(5.0-14.7)で ICR後の観察期間は6.9年 (2.8-9.9)であった. PVA Z scoreはSPS後においてVSR群で有意に成長した (pre-SPSおよびpre-ICR: VSR群, -3.2 (-5.0--2.6) から -1.9 (-3.4--1.2); TAP群: -4.3 (-5.7--2.7)から -3.1 (-4.9--1.9), P=0.03). ICR後10年でPR回避率はVSR群で有意に良好(PR回避率: VSR群 vs TAP群: 63% vs 24%, P=0.009) で,RVOTSおよびreintervention回避率は両群間で術後10年において有意差はなかった(RVOTS回避率: VSR群 vs TAP群: 84% vs 93%, P=0.73), (reintervention回避率: VSR群 vs TAP群: 65% vs 65%, P=0.93) . 多変量解析では,SPS後にPVA Z scoreが-3.0以上に成長する因子は,SPS施行前のPVA Z score(P=0.03)であり, ROC解析によるカットオフ値は,SPS施行前のPVA Z scoreが-4.1以上であった (AUC: 0.76).【結論】TOFに対するSPSはPVAの成長を促し,VSRを施行後の遠隔期肺動脈弁機能は良好である.