[II-SY5-4] 光干渉断層像(optical coherence tomography; OCT)による肺血管病態の評価
Keywords:光干渉断層像, 肺動脈, optical coherence tomography
【背景】肺循環の評価には肺動脈圧・肺血管抵抗、薬剤反応性試験などが用いられ、病理学的診断による重症度判定は困難で診療上の利用は少ない。我々は光干渉断層像(OCT)を用いて肺血管の病理学的観察を行っている。肺動脈壁厚(内中膜厚)および血管外膜におけるVasa Vasorum(VV)の増生を小児心疾患症例において評価してきた。OCTによる肺血管病変進行の定量化は予後予測や加療による病態変化観察に有用である。【方法】肺動脈性肺高血圧症、左右短絡を有する先天性心疾患、Fontan術前後などの症例を対象としてILUMEN FD-OCT Imaging System (Abbott) を用いて肺動脈を観察した。肺動脈壁厚(内中膜厚)や外膜におけるVV面積率(VV area ratio)などを計測した。【結果】先天性心疾患症例における肺動脈内中膜壁厚は平均肺動脈圧と正相関を認め、肺動脈コンプライアンスとは負相関が認められた。肺動脈性肺高血圧症例においては顕著な肺動脈壁の肥厚が確認された。フォンタン循環における肺動脈病変を確認するために両方向性グレン術後患者(BDG群)、フォンタン手術後患者(Fontan群)の記録を施行した。肺動脈内中膜壁厚は、BDG群、Fontan群ともに正常対照群とは有意差は認められなかった。BDG群はControl群に比して肺動脈外膜vasa vasorum (VV)が有意に発達していた。Fontan群ではBDG群よりもVVの発達は低下傾向を示した。さらにFontan術後長期群では短期群と比較して肺動脈内中膜壁厚は有意に低下し、VVの発達も軽減していた。さらに、これら肺動脈周囲のVVの増生や形態は3D画像を用いて形態や発達を明瞭に示すことが可能であり、BDG群、Fontan群のVVは太く蛇行しており形態的にも相違があることが確認できた。【結語】肺動脈内中膜壁厚、VVの増生や形態変化などのOCT画像評価は肺血管リモデリングや重症度評価、治療効果などの臨床的有用性があるものと考えた。