[III-P03-5-06] Orthostatic Dysregulation Case Report: Transitional Care Challenges in a Non-Pediatric Hospital
Keywords:起立性調節障害, 移行期支援, 多職種連携
【はじめに】思春期の発症が多い起立性調節障害(OD)は、男性で2割、女性で5割が成人期に症状が残るとされる。これらの患者では成人期移行が必要となるが、残存した症状への対応を目的とした適切な治療を継続することで約9割は日常生活への支障が少なくなるとされる。今回、小児科を持たない地域病院で多職種と連携してOD患者の内科移行を受け入れた経験を報告する。【症例】<症例1>中学生、女性。小学校在学中にA小児科クリニックで体位性頻脈症候群(POTS)と診断された。中学進学時は不登校であった。多面的な診療および支援が必要と考えられたため、他科併診を前提に当科(成人循環器内科)へ紹介された。当科を主科、神経科と婦人科で併診し、栄養科や支援室とともに多面的な支援を行い、週3回以上の登校が可能となった。<症例2>成人、女性。高校在学中にB小児科クリニックでPOTSと診断され、登校が困難になりながらも高校を卒業し、成人期移行で当科へ紹介された。当初から婦人科および神経科へ併診したが本人が継続的な他科診察を希望しなかった。当科のみで継続することになったが、症例1の経験を基に多職種と連携し、症状に付き合うことを目標に診療し、日常生活を維持することができた。【考察】多彩な症状を呈し多面的な支援を必要とするODは、心身両面に対応する小児科とは異なり、臓器別診療である成人診療科では複数科での診療を受けることになる。成人OD診療の主科は総合診療、神経内科、循環器内科、心療内科などが望ましいとされ、症状により婦人科や精神科との併診も必要である。ODは多くは思春期で軽快するため必ずしも成人期移行が必要となるわけではないが、中等症以上では成人期移行が必要になることも多い。今回、小児科側で成人科での併診科を指定してご紹介頂いたこと、多職種で協働したことで比較的スムーズに移行が可能であったと考えられた。