The 71st Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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学校保健体育研究部会 » 【課題B】保健体育授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題B】口頭発表②

Wed. Sep 8, 2021 9:00 AM - 10:10 AM Room 11 (Zoom)

Chair: Ryoji Isano (Nihon University)

9:35 AM - 9:55 AM

[学校保健体育-B-07] 体育授業における雰囲気と感情の関係性についての考察

*Ryunosuke Okudaira1 (1. University of Tsukuba)

 本発表の目的は、体育授業における雰囲気と感情の関係性について明らかにすることである。その際、雰囲気に関する現象学的な議論を手掛かりにする。

 体育授業には、何かしらの雰囲気が存在しており、それは、一般的にその場の状況を表す概念として考えられている。そのため教師は、授業の質を高めるために、良い雰囲気を作り出そうとしているだろう。先行研究において、雰囲気は、その場の状況を左右することが示されている一方で、言語化しづらく、曖昧な概念であると捉えられている。

 体育授業についての先行研究では、雰囲気が児童の「情意行動」に現れるものと解釈されている。具体的には、雰囲気が、肯定的な言葉がけや拍手、励ましなどの感情に基づいた行動として、その場に現れるということである。「雰囲気の良い授業」は、それらの肯定的な情意行動が高い頻度で現れる授業を指している。つまり、先行研究では、雰囲気と情意行動との関係が述べられている。

しかし、雰囲気は、何かしらの行動に現れずとも、その場に存在し続けているのではないだろうか。つまり、先行研究では、雰囲気と情意そのもの、すなわち感情との関係性が見落とされているといえる。そのため、体育授業における雰囲気と感情との関係性について明らかにする必要があるのではないだろうか。

以上のことから、本発表においては、体育授業における雰囲気と感情の関係性について明らかにすることを試みる。その際、シュミッツやベーメが論じる雰囲気の概念に基づいて、本論を展開していく。シュミッツは、雰囲気と感情の両者が空間性を有していることを指摘している。また、ベーメも、雰囲気の産出について、独自の主張をしている。したがって、彼らの議論を援用し、体育授業において、雰囲気が感情との関係の中でどのように生成されるのかについて示したい。