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[生涯スポーツ-A-05] 共生社会ホストタウンと公共スポーツ施設経営(経)
インクルーシブな活動の創出に向けた施設類型化の試み
東京2020パラリンピック開催に際し政府主導のもとで取り組まれた共生社会ホストタウンは、①パラリンピアンとの交流、②心のバリアフリー、③ユニバーサルデザインの街づくりという3つの指針を通して、開催都市以外でも大会波及効果を取り込むことを見据えた政策である。共生社会ホストタウンに登録されている自治体では、それぞれの特徴を生かしつつ地域において共生社会の実現を目指した取り組みを展開してきた。政策という環境は公共スポーツ施設経営に影響を及ぼす。またスポーツ組織の環境適応行動は戦略との調和が重視される(山下,2006)。本研究は、共生社会ホストタウンという環境下における該当市区町の公共スポーツ施設に着目し、施設が共生社会ホストタウンの活動をどのように捉えてインクルーシブな活動を生み出そうとするのかを把握することを目的とした。組織は外部環境からさまざまな文化的影響を受け、組織文化として「言語的シンボル」、「行動的シンボル」、「物理的シンボル」の3つのシンボルを表出する(坂下,2002)。本研究では、施設の外部環境として共生社会ホストタウンの3つの指針を取り上げ、施設の内部特性として組織文化の3つのシンボルを取り上げた。共生社会ホストタウン登録情報(首相官邸 web,2021)より該当市区町の具体的な取り組みを抽出し、施設の外部環境と内部特性から9つのマトリックスに整理することで30項目にまとめた。また、共生社会ホストタウンが目指すインクルーシブな活動を組織有効性として捉え、障害者が地域の公共スポーツ施設を利用するための15項目を設定した。調査は、共生社会ホストタウンに登録されている105の市区町に所在する、一般公共スポーツ施及び障害者優先スポーツ施設から200施設を選抜して郵送法にて行う。外部環境と内部特性を示す30項目により施設類型化を図り、類型別の組織有効性を把握することとした。