日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題A】 健康増進につながる体力・運動の在り方をいかに考えるか

健康福祉研究部会【課題A】口頭発表①

2022年8月31日(水) 11:00 〜 11:47 第8会場 (2号館2階21教室)

座長:城所 哲宏(日本体育大学)

11:00 〜 11:15

[健康福祉-A-01] 新型コロナウィルス感染症流行下における産後女性の身体活動量は健康関連QOLに影響するか?(ア)

*野村 由実1、荒木 智子2 (1. 千葉工業大学、2. 大阪行岡医療大学)

【背景】身体活動は母子の健康に好ましい影響を与えるが、出産後は身体活動量が減少することが指摘されている。新型コロナウイルス感染症流行により世界的な身体活動不足が課題となっているが、産後女性の身体活動の実態や健康への影響については明らかでない。本研究では、感染症流行下における身体活動レベルによる産後女性の健康関連QOLの差異について検討することを目的とした。
【方法】2020年4月以降に出産した産後1年未満の女性590名を対象に、2021年3月から2021年10月の期間にインターネット調査を実施した。身体活動量の評価には国際標準化身体活動質問票 (IPAQ-SF)を用い、1週間あたりの総身体活動量と活動レベルを算出した。また、健康関連QOLの尺度としてThe Short Form-12 Health Survey (SF-12v2)を用いた。IPAQ-SFの3つの活動レベルを再定義し、Moderate levelとHigh levelを活動群に統合し、Low levelを低活動群として健康関連QOLの比較を行った。
【結果】1週間あたりの総身体活動量の平均は19.3メッツ・時/週であった。研究参加者の活動レベルは活動群が54.1%、低活動群が45.9%に該当した。活動群は非活動群に比べ、SF-12v2の下位尺度である身体機能、体の痛み、全体的健康感、日常役割機能(身体)、日常役割機能(精神)、社会生活機能、活力のスコアが有意に高かった。心の健康については統計学的有意差は認められなかった。また、身体的健康および精神的健康のサマリースコアは活動群は非活動群に比べて有意に高かった。
【考察および結論】本研究の結果は、身体活動と健康関連QOLは正の関連を有するという先行研究の結果を支持し、感染症流行下においても一定以上の身体活動を実施することは産後女性の心身の健康に好ましい影響をもたらす可能性が示唆された。