日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題A】 大学体育の授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題A】口頭発表①

2022年8月31日(水) 11:00 〜 12:19 第3会場 (3号館4階402教室)

座長:木村 華織(東海学園大学)

11:00 〜 11:15

[学校保健体育-A-01] 医療系大学生における健康に関連する心と身体のフィットネス(保,発,生)

ここ10年間の推移を中心に

*水野 哲也1、水野 陽介2、谷木 龍男3、高岡 英氣4、栗原 美紀5、和田 拓真6、吉武 誠司7 (1. 東京医科歯科大学、2. 上智大学大学院、3. 東海大学、4. 敬愛大学、5. 上智大学、6. 出雲北陵中学・高等学校、7. 筑波大学大学院)

【緒言】健康が心身の両側面から理解されるように、体力(フィットネス)にも身体的要素と精神的要素があり(猪飼:1969)、この考え方は我が国の保健体育領域でも広く用いられている。本研究では医療系大学生を対象に健康に関連する心身のフィットネスの現状を検討する。
【方法】2010 年度~2020 年度に首都圏にあるA医療系大学に在籍した1年生男女学生 3115 名(平均年齢 18.56 ± 1.61 歳)を対象に、健康に関連する身体的フィットネス(身長、体重、握力、上体起こし、長座体前屈、20mシャトルランテスト)と精神的フィットネス(HRMF-62;自律性、肯定的な向き合い方、柔軟性、心の状態(水野ほか:2022)の測定を実施した(2020年度のみ身体的フィットネスの測定は実施していない)。測定・調査は、各年度当初の4~5月及び翌年1月に行われた。
【結果】身体的フィットネス:年度当初の男子学生の握力と20mシャトルランテストはここ10年で低下する傾向にあり、2019年度の測定値は2010年度の測定値より有意に低かった(p<.001)。また、女子学生の20mシャトルランテストにおいても同様に、その値は2016年以降で徐々に低下する傾向にあり、2019年度の測定値は 2010年度の測定値より有意に低かった(p<.001)。女子学生の20mシャトルランテストにおいても、2016年以降で徐々に低下する傾向にあり、2019年度の測定値は 2010年度の測定値より有意に低かった(p<.001)。精神的フィットネス:4尺度得点とも推移は男女で異なっており、一定の傾向は見られなかった。また、心の柔軟性尺度において、男女とも2020年度にのみ有意な低下が認められた(p<.05)。総合:種目また性別により相違はあるが、心身のフィットネスにおける多くの項目において、初年次教育の期間に向上が見られた。
【考察】近年における身体的フィットネスの低下は全国的な傾向と一致していた。また、2020年度にのみ認められた心の柔軟性低下はCOVID-19感染拡大禍における様々な生活行動上の制限によるものと考えられた。