日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題C】 人生100年時代に向けていかに人々のスポーツ権を保障するか

生涯スポーツ研究部会【課題C】口頭発表②

2022年9月1日(木) 15:20 〜 16:39 第7会場 (2号館1階12教室)

座長:水上 博司(日本大学)

15:52 〜 16:07

[生涯スポーツ-C-08] 「する」「みる」「ささえる」スポーツの構造化(政,社)

*高峰 修1 (1. 明治大学)

第2期スポーツ基本計画においては国民のスポーツ参画を「する」「みる」「ささえる」の3つの指標から把握し、その拡大を図ることが施策の一つとして示され、その方向性は第3期スポーツ基本計画にも引き継がれている。しかしながら、これらの指標はそれぞれ個別のものとして取り扱われることが多く、それらを構造化させた重複の度合いであったり、各グループの構成員の特徴的な諸属性等についての検討はほとんど行われていない。政策の具体的施策としてこれらの3つの指標を設定するのであれば、まずはその現状を把握することが必要となろう。
 スポーツの「する」「みる」「ささえる」を構造化させた数少ない先行研究の一つに松尾(2012)があるが、そこでは「する」のみのグループが35.7%で最も多く、「する・みる・ささえる」の全てに関わるグループが12.7%いる一方で、「する・みる・ささえる」の全てに関わらないグループも18.8%を占めることが示されている。本研究ではこの松尾(2012)の分析枠組みに準拠し、笹川スポーツ財団が実施している「スポーツライフデータ」を用いて分析を行った。
 2012年と2016年のデータを比較すると、運動・スポーツ実施率は2012年74.4%、2016年72.4%、スポーツ直接観戦率は2012年31.7%、2016年32.9%、スポーツボランティア実施率(無自覚者を含む)は2012年27.7%、2016年22.4%であり、スポーツ直接観戦率は1.2ポイント増加傾向を示すが、運動・スポーツ実施率とスポーツボランティア実施率はいずれも減少していた。これらを組み合わせて構造化すると、2012年に35.7%で最も多かった「する」のみのグループは2016年には35.5%とほぼ同じ割合を占めた。「する・みる・ささえる」の全てに関わるグループは2012年の12.7%から2016年の10.6%へと約2ポイント減少する一方、「する・みる・ささえる」いずれも実施しなかったグループは18.8%から20.7%へ約2ポイント増加していた。