The 72nd Conference of the Japan Society of Physical Education, Health and Sports Sciences

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Oral (Theme)

健康福祉研究部会 » 【課題B】 認知機能の維持・改善に運動・スポーツはいかに貢献するか

健康福祉研究部会【課題B】口頭発表①

Thu. Sep 1, 2022 9:00 AM - 9:47 AM 第8会場 (2号館2階21教室)

Chair: Takahiro Higuchi (Tokyo Metropolitan University)

9:16 AM - 9:31 AM

[健康福祉-B-02] 高齢者のダンス活動がもたらす心理・社会的フレイルの予防効果と活動継続動機との関連(介)

*Chiharu Oka1 (1. Ochanomizu University)

高齢者がダンス活動を継続的に行うことは、身体的フレイルおよびサルコペニアの予防として効果が認められている。さらに認知機能の維持向上、代謝改善の効果も示唆されている。筆者は高齢者がダンスを継続することによる影響の中でも、特に心理的・社会的フレイルの予防に着目した。本研究では、ダンス活動を継続する高齢者へのインタビュー調査から、ダンスのどのような側面が高齢者の心理・社会的フレイルへ働きかけるのか、またどのようなダンスプログラムがより適しているのかを明らかにすることを目的とする。
先行研究から、高齢者を対象としたダンス活動には様々なジャンルが存在しており、抑うつ症状へ影響を及ぼす可能性が示唆されている。筆者は、リズムダンスを中心としたダンス活動を継続する3名の高齢者を対象にインタビュー調査を実施し、ダンス活動を開始したことによる心身の変化および活動継続の理由について質問を行った。その結果、3名の対象者ともダンス活動を開始する前と開始した後では、特に気分の開放や他者とのコミュニケーションについて変化を感じており、身体的な効果はあまり実感されていないことがわかった。活動継続の理由も、主に気分転換や気持ちの開放、仲間とのコミュニケーションの機会が挙げられ、身体運動としての機会よりも心の健康、社会的健康を求めて活動に参加していることが明らかになった。特に音楽やリズムに合わせて身体を動かすことをはじめとして、他者とともに身体表現を行うことによる開放感や非日常体験から、心理的影響を受けているという回答が得られた。ダンスのこうした側面によって、身体的フレイルだけでなく心理・社会的フレイルを予防・改善する効果があると考えられる。また、高齢者がより心理的な開放や社会的健康を実感することを目指し、即興的身体表現を取り入れたプログラムの実施が効果的であると考えられ、今後検証が必要であるといえる。