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[学校保健体育-C-18] 異なる年齢区分データを用いたBTT法による身長発育急増年齢予測値の妥当性の検証(発)
成長段階を加味した成長期児童の体力トレーニング立案や運動能力評価において、身長発育急増年齢(PHVA)が用いられる。PHVA推定法としてThe Bock-Thissen-du Toit (BTT) 法が広く用いられているが、身長発育の年代や地域の差がどの程度反映されているかが不明である。また、BTT法は最低5か年の身長と暦年齢データによりPHVA推定が可能だが、用いるデータの年齢区分の相違が推定値に及ぼす影響についても検討が必要である。そこで本研究は高校生男女の小学校1年生時から調査時までの全身長データを用いたスプライン平滑化による実測値とBTT法推定値、および異なる年齢区分のデータ群を用いたBTT法推定値との相関関係と残差から、BTT法で得られたPHVA推定値の特徴を検討することを目的とした。 高校2・3年生の男女122名の小学校1年生から調査時までの身長、生年月日、身長測定年月日のデータを用いて、スプライン平滑化により身長発育急増年齢を女子は8歳、男子は10歳以上のものを対象にしてPHVAを推定した(SP)。BTT法は全データ(all)および小学1年生から中学2年生(8y)、中学1年生(7y)、小学6年生(6y)、小学5年生(5y)までのデータ群を用いてPHVAを算出した。SPとBTT全条件間の相関をピアソンの相関分析で、また残差が±1歳とそれ以上の各条件での割合を記述統計にて比較した。 全体のSPとBTTの相関係数は5yが最小値、8yが最大値であった(各r=0.660, 0.825, p<0.001)。また、残差が±1歳を越えるものはallでは18%、5yでは44%であった。また残差が-3歳を越えるものがallで2%、5yで4%であった。 これらの結果から、特に小学校1年生から5年生までのデータ群を用いてBTT法で算出したPHVA推定値は、スプライン平滑化による推定値との±1歳以上の誤差が約半数に認められ、PHVA値を大きく推定する可能性を持つことから、慎重に活用する必要性が示唆された。