日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】 体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表①

2022年9月1日(木) 14:00 〜 15:03 第5会場 (2号館4階4E教室)

座長:松田 恵示(東京学芸大学)

14:48 〜 15:03

[学校保健体育-C-04] 発達障害児に対する運動指導場面における指導者の関わりに関する研究(ア)

*佐藤 豪1、村上 祐介2、渡 正2、尾高 邦生2、渡邉 貴裕2 (1. 順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科、2. 順天堂大学スポーツ健康科学部)

障害のある人が運動・スポーツ活動を行うにあたり、それぞれの障害特性等に応じて適切な指導をすること、すなわち個々人の特性に合わせた指導が重要であるとされている。知的障害および発達障害のある子ども(以下、発達障害児)においても、子ども一人一人の特性に応じた関わりが重要であるとされているものの、それが実践現場でどのように行われているのかが明確でなく、実践現場における具体的な指導方法を検討する必要がある。子どもを対象とした運動指導は指導者と子どものコミュニケーションによってなされていることから、個々人の特性に合わせた指導も人々のコミュニケーションによってなされていると推測できる。 そこで本研究では、発達障害児に対する個々人の特性に合わせた指導がどのように行われているかについて、指導者と子どものコミュニケーションに焦点を当て、検討することを目的とした。研究方法は、A県の個別の運動指導を行っている放課後等デイサービス事業の活動を対象に、指導場面のビデオ撮影及び参与観察を行い、質的に分析した。スポーツにおけるコーチングを指導者と選手間のコミュニケーションとして捉え分析した渡(2020)の研究を参考に、運動指導における修正実践に着目し分析した。 結果として、発達障害児の運動指導場面においても、①修正の開始、②間違いの提⽰、③解決策の提案という修正連鎖の基本的な連鎖が確認された。また、②間違いの提示の際に、同時に肯定的な評価を行うという異なる連鎖も確認できた。以上のことから、発達障害児に対する運動指導においては、基本的な修正実践に加えて、肯定的な評価を伴う特徴的な修正実践を行っている可能性が示唆された。