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[学校保健体育-B-02] アダプテッド体育・スポーツの観点の定着に向けた小学校の校内研修プログラムの検討(ア)
地域の小中高等学校ではインクルーシブな体育授業が求められている。しかし、その実践には課題も多く、不安や戸惑いを抱えている教員も少なくない。この状況を解決するために、筆者らはこれまでアダプテッド体育・スポーツ(以降、アダプテッド)の観点の定着を目的とした研修会の内容を検証してきた。そこでは、障害児の体育指導に関する講義に加えてアダプテッドやインクルーシブに関する演習を組み合わせる「定着研修会コアカリキュラム」の有効性が確認された。しかしこれらの研究は、研修会の時間枠として3時間あるいは6時間を想定したものであったため、例えば約1.5時間の枠で実施される校内研修等には対応できない内容となっていた。また先行研究において、小学校の教員へのアダプテッドの定着化が課題として指摘されていた。そこで本研究では、アダプテッドの観点の定着に向けた小学校の校内研修プログラムについて検証することを目的とした。分析対象は関東地区にある公立のX小学校(参加者15名)とY小学校(参加者26名)の校内研修とした。研修の内容は、「定着研修会コアカリキュラム」を基盤として「障害児の体育指導の意義と理念」(講義)と「インクルーシブな体育実践」(演習)」を設定した。研修の効果にはアダプテッド・センシティブ尺度(澤江ら,2020;齊藤ら,2021)を使用した。事前事後の比較の結果、両方の校内研修においてアダプテッドに関する望ましい変化を確認することができた。一方で、X小学校とY小学校では「障害者のポジティブイメージ」の変化量に差が確認され(X小学校:事前2.15±0.97,事後3.07±1.08,t(13)=2.14,p=.053;Y小学校:事前2.56±2.84,事後3.28±2.29,t(24)=2.82,p=.009)、研修の時間に応じた目標の明確化や事例の扱いの検討などが今後の課題として示された。アダプテッドの理念を通して「子どもの可能性を引き出す」という視点を大事にしながら、インクルーシブな体育授業について今後検討していく必要がある。