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[競技スポーツ-C-05] 北海道マラソンにおけるレース終盤のペース低下要因の走力別検討(生)
市民マラソンでは、記録上位者ほどレースペースが一定で、下位者ほどレース後半のペース低下が大きいため、レース後半のペース低下を抑えたイーブンペースのレース展開が理想とされている。ペース低下は、練習不足やオーバーペースなど様々な要因が原因で起こると考えられるが、夏マラソンや走力別のペース低下要因は不明である。本研究では、夏の北海道マラソンにおける走力別のペース低下要因の検討を目的とした。北海道マラソン2019出場男子選手に、大会直前に身長体重、年齢、走歴、シーズンベスト(SB)、大会前3ヶ月の月間走行距離・最大一回走行距離・20kmペース走実施の有無をアンケート調査した。ネットタイムと10km毎の通過タイムは大会後に取得し、10km毎のレースペースと最初の10kmに対するペース低下率を算出した。SBから全体をサブ3、3.5、4、4.5、それ以上の5群に分け、各群をさらに30km以降のペース低下率が小さい(S)集団と大きい(B)集団に中央値で分割した。各群でS vs B集団の比較を行い次の結果を得た。1)全群:B集団はS集団よりもネットタイムが遅い。2)サブ3群:B集団はS集団よりも月間走行距離と最大一回走行距離が短く、練習頻度も少ない。3)サブ3.5群:B集団はS集団よりもBMIが大きく、高年齢層が多い。4)サブ4群:B集団はS集団よりも20kmペース走未実施割合が高い。5)サブ4.5&それ以上群:B集団は10kmまではS集団よりもレースペースが早いが、20km以降は遅い。またサブ4.5群では、B集団はS集団よりも最大一回走行距離が短い。以上から、夏マラソンでも30km以降のペース低下が記録低下につながること、またペース低下要因は走り込み不足(サブ3)や体重増加&加齢(サブ3.5)、20kmペース走の未実施(サブ4)、レース前半のオーバーペース(サブ4.5以上)など走力で異なることが示された。