日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】 ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表③

2022年9月1日(木) 15:30 〜 16:33 第3会場 (3号館4階402教室)

座長:横山 克人(札幌国際大学)

16:18 〜 16:33

[競技スポーツ-C-12] バスケットボールの速攻時の状況認知に関する基礎的知識の因子構造(方)

*八板 昭仁、青柳 領1、倉石 平2、野寺 和彦3、長嶺 健1、大山 泰史4 (1. 福岡大学、2. 早稲田大学、3. 八戸学院大学、4. 佐世保工業高等専門学校)

バスケットボールのゲームにおける速攻では、状況の分析やプレイに関する意思決定にも速さが求められるので状況判断能力は極めて重要である。そして瞬間的で複雑なゲーム場面を的確に把握する認知的要因では、作戦や戦術などの競技力に関わる基本的知識の有無が競技中の状況判断やプレイの正確性に深く関わっていると言われている。速攻における状況認知については、これまでその状況の類型化がなされているに過ぎず、それらに関連する基礎的な知識を規定する包括的な要因を明らかにすることは、チーム戦術やトレーニング方法を計画・立案する上で重要になると考えられる。本研究の目的は、バスケットボールのゲームにおける速攻の様々な場面における状況認知に関する知識テスト(八板ほか, 2022)を実施し、速攻の場面における状況認知に関する潜在的な因子構造を明らかにすることである。さらに、抽出された状況認知因子とチームの競技水準、性との関連について検討する。対象標本は、大学のバスケットボール部に所属する250名(男子115名、女子135名)であり、全国大会出場の有無と性によって4つの群に分類した。27項目の「状況判断と戦術行動に関する知識テスト」の正誤から主因子法、斜交回転プロマックス法による探索的因子分析を行ったところ、「F1:ボールマン近くに相手ディフェンダーがいる状況の認知」「F2:サイドレーンでボールを進めている状況の認知」「F3:ディフェンダーが2人以下のアウトナンバーにおいてボールがフロントコートに進入した状況の認知」「F4:ボール保持者がミドルレーンを進む3レーンブレイクの状況の認知」「F5:ボール保持者がドリブルで進んでいる4対3の状況の認知」の5つの因子を解釈できた。各因子の競技水準、性との関連を検討したところ、F3、F4、F5の3つの因子に有意な差が認められ全国大会群が高値を示した。性差による影響は小さく、競技水準による関連があることが示された。