日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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測定評価/口頭発表④

2022年9月2日(金) 15:59 〜 16:37 第8会場 (2号館2階21教室)

座長:尾山 裕介(桐蔭横浜大学)

16:12 〜 16:24

[08測-口-11] 大学生のGritと児童期の習い事における規律の厳しさとの関連

*門谷 颯星1、大坪 健太2,3、春日 晃章4 (1. 岐阜大学大学院、2. 兵庫教育大学大学院、3. 日本学術振興会特別研究員(DC2)、4. 岐阜大学)

本研究は、大学生のGrit(やり抜く力)と児童期の習い事における規律の厳しさとの関連を明らかにすることを目的とした。対象は、児童期に習い事を行っていた大学生477名(スポーツ系:60%、芸術系:19%、学習系:20%)であった。Gritの評価には、日本語版Short Grit尺度を使用し、5段階で回答させた。さらに、Grit全8項目の回答の平均値をGrit得点とし、Grit得点の平均値(M)と標準偏差(SD)から3群(上位群:M+SD≦X、中位群:M-SD≦X<M+SD、下位群:X<M-SD)に分けた。また、児童期の習い事における規律の厳しさについて5段階で回答させた。統計解析にあたり、5段階評価により得られた回答は全て3段階に再分類した。Grit全8項目およびGrit得点(3群)と児童期の習い事の厳しさとの関連を検討するためχ2検定および残差分析を適用した。分析の結果、「頑張りやである」「困難にめげない」などの粘り強さに関わる項目と規律の厳しさとの間に有意な関連が認められ、それぞれの項目で「当てはまる」と回答した者の中で規律が「厳しかった」と回答した者の割合が有意に高かった。また、「いったん目標を決めてから、後になって別の目標に変えることがよくある」「新しいアイディアや計画を思いつくと、以前の計画から関心がそれる」など興味の持続性に関わる項目と規律の厳しさとの間に有意な関連が認められ、それぞれの項目で「当てはまる」と回答した者の中で規律が「厳しかった」と回答した者の割合が有意に高かった。以上のことから、児童期の習い事における規律の厳しさが頑張る力や困難にめげない力を育む一方で、自らの目標達成に向けて興味・関心を持続する力は育まれにくいことが示された。よって、スポーツなどの習い事における理不尽でない適切な厳しさを伴った指導がやり抜く力を育む上で重要であると考えられる。