15:12 〜 15:42
[00哲-口-02] VR(virtual reality)の身体感覚に関する一考察
「自己感」を中心に
社会の現実空間の多層化が加速し、深化され、現実世界に加え、オンライン世界、拡張言質世界(AR, augmented reality)、さらには、仮想世界(VR, virtual reality)にまで広がっている。特に、VRは現実世界の対極にあり、自律性(autonomy)、対話性(interaction)、臨場感(presence)の三つの要素が現実世界に限りなく近つく「究極のVR」の実現も夢でもないように思われる。
注目は、精度の高いVRの実現とその可能性に寄せられる。生活を便利にし、現実世界の様々な物理的な制約を乗り越えることが期待されている。一方で、複数の現実空間を往還する人の中に生じる「自己感」を、私たちはいかに捉えるべきか。例えば、世界Aの自己と世界Bの自己の間の揺れ・ズレが生じるとしたら、それは懸念すべき事象なのか。また、両者のズレの間に、互換性や拡張性は存在するだろうか。技術の進歩は、以上の問いに対する議論を踏まえるべきである。
本発表は、上記の問いに対する答えの出発点として「自己感」の概念に着目する。特に、ショーン・ギャラガーは、身体化された認知を強調し、「最小自己」として、「身体所有感」と「行為主体間」を主張する。ギャラガーは、精神病理学のケースを用いて、「自己」概念を学際的・実証的研究に結びつけている。
一方で、VRに関する研究は、「代替現実装置」など、私たちの現実感覚を揺さぶる操作が可能な技術が実現されている。本発表は、このようなVRを用いた実証的研究における「自己」や「自己感」の揺らぎについて考察することを目的とし、その際の「自己」概念を、ギャラガーの理論の中に位置づける。
注目は、精度の高いVRの実現とその可能性に寄せられる。生活を便利にし、現実世界の様々な物理的な制約を乗り越えることが期待されている。一方で、複数の現実空間を往還する人の中に生じる「自己感」を、私たちはいかに捉えるべきか。例えば、世界Aの自己と世界Bの自己の間の揺れ・ズレが生じるとしたら、それは懸念すべき事象なのか。また、両者のズレの間に、互換性や拡張性は存在するだろうか。技術の進歩は、以上の問いに対する議論を踏まえるべきである。
本発表は、上記の問いに対する答えの出発点として「自己感」の概念に着目する。特に、ショーン・ギャラガーは、身体化された認知を強調し、「最小自己」として、「身体所有感」と「行為主体間」を主張する。ギャラガーは、精神病理学のケースを用いて、「自己」概念を学際的・実証的研究に結びつけている。
一方で、VRに関する研究は、「代替現実装置」など、私たちの現実感覚を揺さぶる操作が可能な技術が実現されている。本発表は、このようなVRを用いた実証的研究における「自己」や「自己感」の揺らぎについて考察することを目的とし、その際の「自己」概念を、ギャラガーの理論の中に位置づける。