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[03心-口-02] Switching hybrid dynamics in court-net sports
スポーツにおける対人競合は、身体運動を介した相互作用の結果、複雑にみえる現象である。ネット型競技では、自らの準備状態や意図だけでなく、相手のショットに基づく素早い意思決定と熟練した運動の遂行が必要とされる。本研究では、ソフトテニスの国際大会及び大学生のシングルスゲームにおけるショットコースとコート上での選手の動きを分析した。そして、意思決定にかかわる離散力学系と意思決定に対応した運動パターンの切替にかかわる連続力学系からなる切替混合力学系のモデルで、ネット型競技における二者の対人競合を記述できることを示した。具体的には、離散力学系では、リターンマップ分析によって、ショット角度の系列に4種類のアトラクタとリペラという規則性が見られ、連続力学系では、この規則性に対応した選手の動きに3次の系列効果、すなわちフラクタル遷移と呼ばれるヒステリシス(履歴現象)が観察できた。このことは、相手の状態(ショットコース)と自分の状態(意図や準備状態)をもとに瞬時に行われる系列的な意思決定がランダムではないこと、また、相手打球への対応のための移動と打球動作の反復による時間遅れに履歴、すなわち過去の動きの影響が残ることを示している。つまり、ネット型競技における対人競合では、自分の履歴をできるだけ残さず、相手の履歴をできるだけ利用した意思決定に基づく運動を、相互に繰り返しているといえる。ネット型競技では、相手の打球へは対応せざるを得ず、そこでの二者間競合は、二者が互いに強固に、しかも再帰的に連結した切替混合ダイナミクスとして記述できる。本研究の結果は、実験室での統制された条件下で観察した結果ではなく、実際の試合の中で観察できた結果であることに意義がある。