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[03心-口-01] ラダー運動の映像提示における聴覚的情報の有無が巧緻性に及ぼす影響について
アジリティラダー(ラダー)を用いた運動課題の記憶・再現に、視覚的情報と聴覚的情報がどのように影響するかについて明らかにすることを目的とした。大学生21名を対象として、ラダーを用いた難易度の異なる5種類の運動課題を作成し、各運動課題のラダー映像を提示・記憶させ、記憶した運動を実際にラダー運動で再現させた。ラダー映像の提示・記憶・再現の実験は、足音などの聴覚的情報(音声)を消音した視覚的情報(映像)のみの課題(聴覚的情報なし)と、視覚的情報と聴覚的情報がある課題(聴覚的情報あり)の条件で実施した。評価は、運動課題の記憶及び再現性を①映像と同じ箇所を踏めていたか(足運び、ポジショニング正答率)、②映像と同じ秒数でステップ操作できていたか(運動リズム、タイミング正答率)の2点で行った。①ポジショニング正答率の平均値は、聴覚的情報ありが56.7±4.6%、なしが47.6±4.4%、②タイミング正答率の平均値は、聴覚的情報ありが61.0±2.0%、なしが53.7±2.7%を示し、聴覚的情報ありが聴覚的情報なしに比べ有意に高値を示した(p<0.01)。このことから、聴覚的情報の有無は運動の再現性に影響を及ぼすと考えられた。また、試技ごとのポジショニング正答率は、難しい課題が易しい課題に比べ有意に低値を示した。しかし、試技ごとのタイミング正答率は、ポジショニング正答率のような結果は認められなかった。足運びが複雑になるにつれ、比例的に記憶・再現することが難しくなることが確認され、さらに動作のリズムに比べて運動の複雑さが再現性に大きく関連すると考えられた。映像に聴覚的情報を付与することで、視覚的情報が補強されると考えられたことから、聴覚的情報を付与した映像により、より正確な動作の習得が期待される。したがって、様々な運動指導場面で、聴覚的情報を付与した映像を用いることの有効性も示唆された。