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[03心-口-04] アスリートの制御焦点がイメージ能力や競技中の思考に及ぼす影響
近年、目標志向性を促進焦点と防止焦点に区別する制御焦点理論(Higgins, 1997)が注目されており、アスリートの制御焦点はパフォーマンスに影響を及ぼすことが明らかにされている(Kutzner et al., 2013)。アスリートの制御焦点は、イメージやセルフトークなどの高いパフォーマンスを遂行するための方略に影響を与え、パフォーマンスに作用する可能性がある。しかし、これまでにアスリートの制御焦点の違いがパフォーマンス遂行時の方略に与える影響は明らかにされていない。したがって、本研究の目的は、アスリートの制御焦点がイメージ能力や競技中の思考に及ぼす影響について検討することとした。調査はA大学の体育専攻学生を対象とし、Googleフォームを用いて実施された。分析対象者は体育専攻学生369名(男性167名、女性200名、回答なし2名、Mage20.7±0.8)であった。調査対象者には日本語版The Sport Imagery Ability Questionnaire(相川ほか,2019)やスポーツ競技自動思考尺度(有冨・外山,2017)、スポーツ場面に適用させたPromotion/prevention focus scale邦訳版(尾崎・唐沢,2011)、競技パフォーマンスに対する自己評価尺度(上野・小塩,2016)について回答させた。分析の結果、促進焦点傾向のアスリートは防止焦点傾向のアスリートよりもイメージ能力が高く、ポジティブな思考の頻度が高いことが示された。また、防止焦点傾向のアスリートは促進焦点傾向のアスリートよりもネガティブな思考の頻度が高いことが示された。さらに、促進焦点傾向のアスリートにおける目標イメージはパフォーマンスに有意な正の影響を与えていることが示された。加えて、防止焦点傾向のアスリートにおける自信はパフォーマンスに有意な正の影響を与えていることが示された。これらの結果には、制御適合理論(Higgins, 2000)が関係し、アスリートはそれぞれの制御焦点に適合したイメージ能力の向上やセルフトークなどの利用頻度を高めることで、パフォーマンスの向上を図っているものと考えられる。