10:20 AM - 10:40 AM
[06経-口-01] 車いすバスケットボールの「インクルーシブスポーツ」としての普及に関する定性的研究
特に、健常者の参加を抑制する要因に着目して
車いすバスケットボールは、一般的には「パラスポーツ」であるが、車いすを用いることで、誰もが公正かつ平等な立場でバスケットボールを楽しむことができるという意味では「インクルーシブスポーツ」であると言ってもよい。こうしたインクルーシブスポーツには、共生社会への貢献が大きく期待されている。しかしながら、日本車いすバスケットボール連盟の登録状況を見てみると、車いすバスケットボールに参加する健常者の割合は、全体の約18%(2021年度)と、きわめて少ない状況にある。それは、健常者にとっては車いすを用いるという、これまでとは異なるやり方で、バスケットボールというスポーツを実践しなければならない、からである。いわば、健常者にとっては「スポーツイノベーション」(山下,1994)の採用であるのかもしれない。Yeshayahu et al.(2016)は、健常者が車いすバスケットボールをスポーツイノベーションとして受け入れ、「シリアスレジャー(Serious Leisure)」(Stebbins,1992,2007)として実践していることを明確にしている。また、この研究以外にも、健常者と障がい者の関係構築という観点から「障害者スポーツ」の可能性を考察した河西(2010)の研究などが散見される。
本研究では、インクルーシブスポーツとしての車いすバスケットボールへの健常者の参加を抑制する要因とは何かについて明確にすることを目的とする。そのため、2020年8月7日~9月14日にかけて、車いすバスケットボールに参加する健常者選手11名を対象に半構造化面接調査を実施した。その結果、健常者の参加を抑制する6つの要因を発見することができた。具体的には、「イノベーション属性」(Rogers,1983)によって説明できる5要因と、「障がい者からの抵抗」「障がい者のためのスポーツというイメージ」といった「車いすバスケットボールに対する認識の不一致性」の1要因がそれである。
本研究では、インクルーシブスポーツとしての車いすバスケットボールへの健常者の参加を抑制する要因とは何かについて明確にすることを目的とする。そのため、2020年8月7日~9月14日にかけて、車いすバスケットボールに参加する健常者選手11名を対象に半構造化面接調査を実施した。その結果、健常者の参加を抑制する6つの要因を発見することができた。具体的には、「イノベーション属性」(Rogers,1983)によって説明できる5要因と、「障がい者からの抵抗」「障がい者のためのスポーツというイメージ」といった「車いすバスケットボールに対する認識の不一致性」の1要因がそれである。