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[06経-口-02] 公共スポーツ施設における指定管理者の特徴の地域差についての検討
特定の地方公共団体を対象として
2003年の地方自治法の改正により指定管理者制度が創設されてから19年が経つ。本制度を採用してから数巡目を迎えた公の施設もあり、選定される指定管理者の変更も見られる。その間本制度に関する注目も高く、公共スポーツ施設を対象とした研究としては、特に2009年頃から間野らにより一連の研究が蓄積された。それらでは利用者側(満足度向上、利用者数増加やサービス向上等)と管理・経営者側(雇用創出、コスト削減や効率経営等)の両者にとって、指定管理者制度の導入が好影響を与えていることを示した。その後も、山田(2014)は指定管理団体の多様性、松橋(2017)は指定管理企業の「地域コミュニティとの協働戦略」、黒川(2014)や武田(2020)は公共スポーツ施設の運用・運営実態と課題、にそれぞれ着目した研究を進めるなどしているが、基盤施設や文化施設といった他の公の施設と比べると公共スポーツ施設に言及するものは近年決して多いとはいえない。一方で特定の公の施設に限定せず、指定管理者制度導入の地域差とその要因について、日経産業消費研究所が行った調査「自治体における指定管理者制度導入の実態」を用いて分析・検討した佐藤(2013)の研究は示唆に富む。以前筆者(2009)は、公共スポーツ施設の設置・整備状況に関する地域比較について、保健体育審議会答申の整備指針に基づきM県下の市区町村域施設の分析を試みたが、佐藤が提示する地域差の視点で得られた知見は有用である。そこで、特定の地方公共団体における公共スポーツ施設の指定管理者の特徴について、地域差という観点でその実態を明らかにすることを本研究の目的とする。大都市と地方都市との地域差を佐藤が指摘しているように、特定の地方公共団体においても地域差があることが推察される。本研究分野の資料収集のための基礎的研究として位置づけたい。