15:01 〜 15:21
[12人-口-02] 近現代における沖縄闘牛の歴史
農村娯楽から土着文化へ
現在、日本では岩手県(久慈市)、新潟県(長岡市・小千谷市)、島根県(隠岐の島町)、愛媛県(宇和島市)、鹿児島県(徳之島)、沖縄県(うるま市ほか)の6県で闘牛が行われている。少ない所で年に数回、多い所で年に数十回の大会が開催されており、各地の闘牛場には数百人から数千人の観客が押し寄せる。いずれの場所でも農村娯楽として始まった闘牛だが、今日なおそれは地域の伝統文化や観光文化として多くの人々の生活に欠かせぬ楽しみごとである。
こうした日本の闘牛研究は枚挙にいとまがない(石井1992; 石川, 2004, 2005, 2008; 小木曽, 2020; 菅, 2013; 曽我, 1991; 広井, 1998)。スポーツ人類学のほか地理学、民俗学の領域で研究は進められており、その歴史や伝承の実態、社会的機能などすでに明らかになっていることも少なくない。しかし、沖縄闘牛はその規模の大きさからすれば奇妙なほどに研究が進展していないことがわかる。沖縄、徳之島、宇和島との間でその概要を比較した西村・桑原・尾崎(2006)と牛主の経済的負担について分析した池本・松本(2019)が挙げられる程度で、その他にまとまったモノグラフは見当たらない。
沖縄では現在、うるま市の石川多目的ドームを中心に毎年合計して20〜30の闘牛大会が開催されている。中でも沖縄県闘牛組合連合会が主催する年に3度の全島闘牛大会には、毎回3,000人を超える観客が詰めかけるほか、各地の闘牛組合が代わるがわる大会を開き、むしろ大会のない時期を探す方が難しい。近年は女性のみや家族連れでの参加も増え、老若男女すべての人の日常娯楽として沖縄の地に息づいている。本発表ではこうした沖縄闘牛の近現代史を郷土史や聞き取り調査の結果から再構成し、その文化・社会的分脈を明確にするとともに、スポーツ人類学の視点から理解可能となるその特徴について検討する。
こうした日本の闘牛研究は枚挙にいとまがない(石井1992; 石川, 2004, 2005, 2008; 小木曽, 2020; 菅, 2013; 曽我, 1991; 広井, 1998)。スポーツ人類学のほか地理学、民俗学の領域で研究は進められており、その歴史や伝承の実態、社会的機能などすでに明らかになっていることも少なくない。しかし、沖縄闘牛はその規模の大きさからすれば奇妙なほどに研究が進展していないことがわかる。沖縄、徳之島、宇和島との間でその概要を比較した西村・桑原・尾崎(2006)と牛主の経済的負担について分析した池本・松本(2019)が挙げられる程度で、その他にまとまったモノグラフは見当たらない。
沖縄では現在、うるま市の石川多目的ドームを中心に毎年合計して20〜30の闘牛大会が開催されている。中でも沖縄県闘牛組合連合会が主催する年に3度の全島闘牛大会には、毎回3,000人を超える観客が詰めかけるほか、各地の闘牛組合が代わるがわる大会を開き、むしろ大会のない時期を探す方が難しい。近年は女性のみや家族連れでの参加も増え、老若男女すべての人の日常娯楽として沖縄の地に息づいている。本発表ではこうした沖縄闘牛の近現代史を郷土史や聞き取り調査の結果から再構成し、その文化・社会的分脈を明確にするとともに、スポーツ人類学の視点から理解可能となるその特徴について検討する。